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ウォンツマンZERO  作者: ビヨンド裕P
モグラ激闘録② 戦闘
7/20

第5話 暴力

美香の協力者からウォンツの目的、美香の正体を聞いた裕二は戦うことを決意した。そんな時、ウォンツ社員ドメスティックマンを、名乗る男から家族を人質にとったと言われた。裕二は美香と共に、待ち合わせ場所に急いで向かうのだった。

 【泉南リンクモール駐車場】 PM:14:00


 待ち合わせの場所に着いた。裕二と美香は車を降りて辺りを見回し、ドメスティックマンと裕二の家族を探す。しかし、敵の姿等は見当たらない。


「どこ行った、あのバイオレンス野郎」


「まぁ、落ち着いてください。移動中に教えた、説明書の内容は覚えてますか?」


「ああ、ドライバーにシャムとピカキンのカード入れてフュージョンコラボして、ピカキンとシャムのカードをアップロードスロットに入れて必殺技だろ」


「4回も説明して、やっと理解してくれましたね」


「うるせえ」


 裕二は自分より年下の女に、嫌みを言われたのと呼び出しておいて待ち合わせ場所にいない、敵の無礼が合わさりとてもイライラしていた。


「家族が心配なのはわかりますが、冷静さだけは失わないでください。大型ショッピングセンターなので一般の方に被害が及ばないよう、戦ってくださいよ」


「美香、次、俺に意見したら殴るからな」


 裕二は、自分よりも下だと判断した人に対してはかなり尊大な態度を取る。だから、学生時代から友達が出来てもすぐ離れていく。


「ズドン!」


「キャっ!」


「なんだ!?」


 裕二と美香の目の前に、何やら黒い塊が落ちてきた。二人はすぐによけたので直撃はしなかった。


「遅かったな、ウォンツマン」


 屋上の方から聞こえてきた声に、二人は反応して見上げる。そして敵の姿を目視で確認した。太陽の光が逆光してよく見えないが、影の形から人間の姿はわかった。


「お前が、ドメスティックマンか!」


「ああ、お前をウォンツ最強の戦士へと導く者だ」


 裕二に正体を堂々と名乗り、ドメスティックマンは屋上から飛び降りた。


「ドオオオオーン!!!」


 ドメスティックマンが駐車場に着地すると、爆音と共にコンクリートの地面がひび割れた。あたりに衝撃波が発生して駐車場の車を吹き飛ばした。かなりの高さから飛び降りたのに身体はなんともなさそうだった。


「うわ!」


 体重の軽い裕二は吹き飛ばされた。美香は車の影に隠れてたため、難を逃れた。


「お前が、ドメスティックマン?普通の人間じゃないか」


 見た目は丸坊主で小太りのおっさん。とても改造ニートには見えなかった。


「ドライバーで、改造体になってないからな」


「何?お前もドライバーが使えるのか」


「もちろん、お前だけがその素晴らしい力を使えると思ったのか?」


 ウォンツの社員を名乗ってたし、ドライバーを使えてもおかしくはない。それに、自分と同等の力が使え、おそらく自分より改造ニートの力を使いこなすことが出来るはずだ。そう考えると裕二は勝ち目がないように思えてきた。


「ところで、その袋の中身、何か気にならないか?」


 ドメスティックマンが、黒い袋に入った縦長の塊を指差す。二人は大きさ形からすぐ、その中身が何かを察した。


「まさかそれ、前川さんのご家族?」


「まぁな」


 美香は袋の中身がわかると、手を口に当て悲鳴を上げた。裕二は信じられず、ただ袋を見つめて、呆然と立ち尽くした。


「悪いな、抵抗するもんだからお前のお父さんやっちゃった。もちろん殺したの意味でだ。安心しろ、男にそういう興味はないから。それと、母親と妹は元気だぜ。この俺が、お前に似てブサイクな妹とただのババァに興奮するわけないだろ。ビデオの件も無しだ、よかったなハッハッハー」


「俺が、ブサイク、だと…?てめえ、よくも言ってくれたな!」


 家族のことを侮辱されたことは特に気にはならないが、自分をイケメンではないが、カワイイ童顔子犬系男子だと思っていた裕二にとって、ブサイクという言葉はかなり傷つく言葉だ。


「そうだ、親父!嘘だろ親父!」


 裕二は袋にくるまれた父の亡骸にかけより、声をかける。しかし、やはり反応はなく体は冷たい。


 普段から自分のことを無能だ、業人だ、と罵倒し、息子のフリーランスの仕事に理解しようとしなかった頭の固い父親が嫌いだった。裕二に悲しみの涙はなかった。父親がいないと親の金で自由な生活ができないから、仕方なく言うことを聞いていただけで、死んだところで何とも思わなかった。だが、美香に冷たい男だと思われたくなかったので一応、悲しむ演技をした。


「ひどい…ひどすきる!殺すことないじゃない!人の、命を、何だと思っているの!」


 ちょっとサイコパス気味な裕二とは逆に、優しさと正義感を持つ美香は叫び、敵を非難した。理不尽な暴力を振るい、鬼畜の所業を行う敵を絶対に許せないとも思った。


「裕二さん、お願いです、戦ってください。こんなヤツ、野放しにしておくのは危険です」


「言われなくても、コイツは俺が潰す」


 ここで家族を殺した敵に怒りを見せ、戦う悲劇のヒーローを演じる。そして、このバイオレンス野郎を倒すことで、美香にカッコいいところを見せられる。そしたら、確実に美香は俺に惚れるだろう。裕二はそんなことを考えながら、手に持っていたウォンツドライバーを腰にセットした。


「よくも…親父を、覚悟しろよなこの筋肉ゴリラ!!」


 裕二はレバーを引き、バックルを開く。そしてシャムとピカキンのカードをセットし、バックルを閉じた。


「シャム!ピカキン!光と闇のレジェンドライバーコラボ!ウォンツマン!オールジャンルコラボ」


 騒がしい音楽と何とも言えないかけ声と共に、再びあのモグラの姿に変身した。


「これが、ウォンツマン…素晴らしい姿だ。キミが羨ましい。なら、私も全力で行こう!」


 ドメスティックマンもスーツの内側ポケットから、ウォンツドライバーを取り出し、裕二と同じようにカードをセットした。


「マポト!TKQ朴!女を殴り後輩にパワハラするハラスメントライバーコラボ!ドメスティックマン!バイオレンスコラボ」


 不穏な音楽とこれまた何とも言えないかけ声で、ドメスティックマンは真の姿に変身した。見た目は大きな熊で体中に刺青が入っている。明らかに裕二の変身した姿より強そうだ。


「なるほど、100年前のライバーの力を、この男も使えるのね」


「ああ、そうさ。コイツらは2人とも、100年前に暴行をして警察に逮捕された、凶悪ライバー同士の力がコラボしている。つまり、最凶のフュージョンコラボだ」


(コイツも昔の動画配信者の力で戦うのかよ…)


 裕二は100年前のヤツら、どんな危険な力を使って動画配信してんだよ、と思いながらも拳を握りファイティングポーズを取る。


「来いよ」


ドメスティックマンがクイックイッと手のひらを動かし、ウォンツマンを挑発する。


「なら、行かせてもらう。ハアアアアアー!!!」


 裕二の拳とドメスティックマンの拳が、かち合う。ついに、改造ニートとの戦いが始まった。


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