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ウォンツマンZERO  作者: ビヨンド裕P
モグラ激闘録① 黎明
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第2話 洗脳

兵器開発企業ウォンツにさらわれた裕二は一体どうなってしまうのか?

「んん…」


「おや、目が覚めたようですね」


 車に乗せられてから眠らされたようだ。頭がまだ、くらくらする。薄暗い部屋に拘束されて、体の自由もない。


「どこやここ?身動き取れなくして俺をどうするつもりだ!」


「ここは、ウォンツの兵器開発工場。あなたの昔の職場ですよ。よく知ってるはずです」


 こいつ、俺が以前ここで働いていたこと知ってるのか。そもそも、眠らされていた間に俺の体をどうしたんだ?


「あなたが、我々の目的を知る必要はありません。脳に埋め込んだチップにより、自我を失い、我々の指示通りに動いてもらうことになるのですから」


「俺の脳にチップを埋めただと?ふざけるな!そんなことして許されると思うのか?こっちは警察に行くぞ」


 自分で言っておいて何だか、つい先日までウォンツマンの力で家族に復讐するとか言ってたくせに、警察を頼りにする自分が少し情けなく思えた。


「我々の兵器になる前に、最後に少し教えてあげましょう〈改造ニート・ウォンツマン〉のことを」


 【改造ニート・ウォンツマン】だと?こいつら俺みたいなフリーランスに働く人間を誘拐して、改造し、兵器として使っているのか?なんてヤツらだ許せない。


「改造ニート、ウォンツマンだ?そもそも誰がニートだ。俺は執筆活動に作曲さらに、動画編集もやっているアーティストだぞ!」


 正直、自分でもニートだと思うが、他人に指摘されるのはやっぱり腹が立つ。


「誰もあなたの作品を認めてはいないでしょう。あなたがいくら自画自賛しようと、作品の芸術性を認める人間がいなければ、それは全て無価値なただのゴミ。あなたは無職で間違ってない」


「てめぇ…」


 こいつ、俺のアート作品をゴミ扱いしやがった。絶対に許せん。


「話を続けます。ウォンツマンとなったあなたには、教育プログラムチップにより我々の命令以外、聞くことはありません。余計な感情は、作戦遂行の障害となりますからね」


「ふざけるな、俺を離しやがれ!」


「まだ話が終わってません。そして、あなたには最強の戦士として最前線で戦ってもらいます。つまり、あなたが改造ニートたちのリーダーになるのです」


 戦うて何とだ?この平和な日本で。そもそもなぜ、ウォンツは兵器なんかつくってた?今さらだが、考えてみるとこの状況がとんでもなくおかしいことに今さら気づいた。


「もういいでしょう。それでは始めましょうか」


「待て!まだ聞きたいことがたくさんあるぞ」


「美香さん、よろしくお願いします」


 美香?女もいるのか、若い女性ならいいな。


 美香と呼ばれる女が部屋に入ってきた。若くて、黒髪ロングのスレンダーな体型に、マスクをしてるから顔はよくわからないが、目元だけなら美人と言って問題ない。俺の大好きな、清楚な雰囲気の美人だ。


「わかりました、社長」


「美香さんが持つスイッチを押すと、教育プログラムが作動し、あなたは死ぬまで永遠にウォンツマンとして我々の目的のために戦ってもらいます。さぁ、世界征服ハイバッチリ!」


「教育プログラム、作動します」


 美香はそう言うとスイッチをポチった。すると脳に、電流らしきモノが流れ、俺の頭をビリビリとしびれさせた。


「グワッッッ-ーー!!痛いいいーーー!!アァーー!!!」


 自分でも、聞いたことないほどの叫び声が出た。これ以上、この電流を脳にくらったらヤバいって、全身が拒否反応を示しているのがわかる。


「やめろーーーウォンツやめろーーーやめてくれンアーーーー!!!」


 何やら変な音声が、頭の中を響き渡る感覚になり、いよいよダメかと思った。すると電流が止まり、美香が俺のことをじっと見る。


「教育完了です。次にフュージョンコラボの実験を開始します」


 教育完了だと?頭は痛いが、俺はなんともないぞ。


「美香くん、ウォンツドライバーを、持ってきてくれ」


「了解しました」


 岩田に言われると、美香はアタッシュケースを持ってきた。俺が買ったヤツと同一のモノだ。


「ウォンツドライバー、セットします」


 美香がケースからドライバーを取り出す。そして俺の前にきて拘束具を外し、腰にベルトを装着した。間近で美香の匂いを嗅ぎ、顔を見て俺は確信した。こいつは間違いなく美人だ。それに、どうやら俺の体は動きそうだ。ウォンツマンの変身に成功したら、その力を使い脱出するか。それまでは、こいつらの洗脳にかかったフリをしてやる。


「ライドライバーカードを、セットします。社長、どのカードをセットしますか?」


 ライドライバーカードて、その不気味な男の顔がアップで描かれた、悪趣味なカードのことか?けっこうたくさんあるな。そういえば、2枚ワンセットで変身するんだったな。


「彼のベストコラボは、シャムとピカキンのカードだ」


「わかりました」


 シャムとピカキンは、昔に存在したらしい動画配信者のことだ。小学生のインターネットの使い方授業で、良い例と悪い例として取り上げられるから、義務教育受けた人間なら誰だかはわかる。だが、なぜその2人なんだ?俺はさっぱりわからなかった。


「ライドライバーカード、セットします」


 美香はドライバーのレバーを引っ張っると、バックルがスライドし、カード挿入部分が出てきた。そこに2枚の悪趣味カードを挿入し、レバーを押し込んだ。すると、バックルが閉じてベルトが発光し、音声が流れた。


「シャム!ピカキン!光と闇のレジェンドライバーコラボ!ウォンツマン!オールジャンルコラボ」


 なんとも騒がしい音声と音楽が流れ、俺の姿がモグラみたいな姿に変わった。そして、とんでもない力が全身に溢れるのがわかった。しかし、なんでモグラの姿をしてるんだこれ。どうせならライオンとか虎とか、もっと強そうな動物にしろよ。


「実験は成功だ!これで私は、最強の戦士を手にいれた。ハイ、バッチリイイイイ!!!!」


 岩田が椅子から立ち上がり、両手を上にあげ、大声で叫んだ。


 ――隙だらけの今がチャンスだ!――

 

 ここしかないと思った俺は、勢いよく立ち上がり隣にいた、美香の首を腕で押さえこんで叫んだ。


「岩田そこまでだ!この女が、どうなってもいいのか?」


 俺は、美香を人質とすることにした。こいつは美人だが俺をこんな化物にしたんだから、この男と同罪だ。


 2人は顔を見合せて驚いた表情をしている。どうやら、自分たちの洗脳が効かなかったことは想定外だったらしい。


「どういうことなんだ……」


 岩田は状況を信じることが出来ず、ただ驚いて立ち尽くしていた。そして捕まっている美香が、俺の耳元で小声で呟く。


「変身に成功しただけでは、あなたに勝ち目はないわよ」


「何だと?」


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