第16話 不穏
しばらく間空いてすいませんでした。これからガンガン更新して行きます!
東京『六本木ホテルタワー』PM.17:03
スキャムマン、ブラックナイトマンを、連続で撃破した裕二は、そのままホテルに着くとベッドで、泥のように眠りについてしまった。ようやく目を覚まし、体を起こした頃には、辺りは日が落ちかけ薄暗くなっていた。
「やっと起きましたね。昨日は大変でしたから、仕方ないですけど」
貝塚へ、明日の帰り支度をする美香が、裕二に気付き、優しく言葉をかけた。
「そうやな。ところで、早速約束を守ってもらおうか?」
裕二はニヤつきながら、両手で女性の胸を揉むような仕草をして、美香に話し始めた。
「まだ夕方ですよ。それにこういうのは、準備ってモノがあるでしょう」
「ゴムならあるで。こないだ出会い系で、知り合った女とヤろうと思って、買ったけど、来なかったから使えんかったやつが。あとナプキンもな」
「………ナプキンは何に使うつもりなの?」
美香は少し戸惑った。
「まぁいいわ、ならシャワーを浴びてくる」
「ええよ」
美香はそう言うと、シャワー室へと向かっていった。裕二はベッドの上でストレッチをして、体と下半身の子モグラをほぐしている。
「準備いいわ」
しばらくして、シャワーを浴び、バスローブ1枚に着替えた美香が現れた。
「うおおおお――――――!!」
ついに、長年の夢が叶う時が来た。興奮した裕二は、大きな雄叫びをあげた。
「早くやろう、脱げ脱げ」
「ちょっと、待っ……アッ……」
抑えきれない欲望のままに、裕二は美香に、飛びつくような勢いで抱きついた。だが裕二は抱きついた瞬間、美香の小ぶりな胸の感触と一緒に、下腹部付近にある謎の物体Xの感触に違和感を覚えた。
「ん?おいこれって…まさか、おちん……えっちょっ待てよ…」
「そうよ…私、付いてるのよ…アレが…」
裕二の問いかけに、美香が顔を赤らめて答えた。
「………………」
長い沈黙のあと、裕二が美香に話しかけ始めた。
「なんで男て言わんかった?ああん?お前ふざけるなよ。コッチハサヤットDTソツギョウヤトオモッタノニコレジャダメダヨ」
「いつか言うつもりだったけど、私は自分のことを女だと思うから、自分の口から、実は体は男ですなんて、言いたくなかったのよ」
「ソレハソッチノツゴウジャン。イツモソウ、ゼンゼンオレノコトハキニカケテクレナイ。タイチョウノコトトコサー」
裕二は怒りで、途中から早口になっていった。美香は涙目になりながら話した。
「気にかけてるわよ。改造ニートとの、闘いでいつもボロボロになりながらも、みんなを守ってくれる裕二さんのことを。私はずっと心配しているのよ。裕二さんはもう、ニートだった頃とは違って、日本国民の希望、正義の象徴なの」
「イロイロヨサゲナコトイッテモサー、DTノママジャ、ダレモオレヲミトメテハクレナイヨ」
「そんなことはないわ。少なくとも、私は裕二さんのこと尊敬してる」
「男のくせに、女だと偽って俺を騙してたヤツの言葉なんか、今さら信用できるかよ!!」
「それは……その…」
裕二はそう怒りを吐き捨てると、荷物をまとまて、部屋から出ていこうとした。
「どこに行くのよ」
「お前らのいないところだよ!!」
バタンッ!!
裕二はそのまま扉を開けて、勢いよく飛び出して行った。
「なによ…若い女じゃない私に、存在価値は無いの…」
美香は胸が突然、つまるように苦しくなり、その場で倒れこんでしまった。