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ウォンツマンZERO  作者: ビヨンド裕P
モグラ激闘録② 戦闘
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第15話 憎悪

黒騎士に追い詰められた裕二。ボロボロの体でなんとか戦うが、裕二は勝つことはできるのか?

 裕二の攻撃を受けた黒騎士が、頭を抱えて、ふらつきながら立ち上がった。その黒騎士の周りを今度は無数のウォンツマンが取り囲む。


「全部、幻だろ。まとめて消せば、もう俺に通用しない!」


 黒騎士は持っている盾を振り回し、周りを囲む裕二の幻を、手当たり次第消していく。


「ボンッ!ボンッ!」


「熱っ!」


 黒騎士が消した幻は、イバターの炎で作られており、消された幻が次々と爆発していった。


「ハハハ、俺はここだぜ!アホ騎士くん」


 いつの間にか裕二は、黒騎士からだいぶ離れたところにいた。


「ぐっ…てめえ」


 連続で、炎の幽霊爆弾攻撃をくらった黒騎士は、片膝をついて荒い呼吸をしている。頭部に受けたダメージも含め、かなり消耗しているようだ。


 それでも反撃したい黒騎士は、なんとか立ち上がると再び、とぅーふさんのカードをアップロードスロットに挿入しようとした。その時、美香が黒間からの伝言を裕二に伝えた。


「聞いて前川さん!アイツの能力は、相手の憎しみの感情を、自分のエネルギーに変えるの」


「なんやと?どうすればいいんだそれ」


「アイツを倒そうと、考えなければいいのよ。何か、別のことを考えて!」


「別のこと…か」


 裕二は美香に言われるまま、何か別のことを考え始めた。


 ――これが終われば、美香とヤれるんだよな。なら早く倒さないと……あ、ヤバい、また倒そうと考えてしまった。ちゃうちゃう、美香のこと考えればええねん。エッチしたい、エッチしたい、エッチしたい……――


「今さら何しても変わらねーよ!」


「ヘイトアップロードブレイク!」


 ……………


 カード挿入後、裕二と黒騎士には沈黙の間が訪れた。落ち着きのない黒騎士は、その沈黙に耐えられず、焦ってドライバーを拳でガンガン叩いた。だが、やはり何も反応はなかった。


「反応がないだと…」


「フッ、なるほどわかったぜ。お前の倒し方」


 裕二は半笑いをすると、かけていたサングラスを外し、モグレーザーを黒騎士に向けて発射した。


「ビィィィィィ―――――――ン!」


 レーザーは、さっきの攻撃の熱でやわらかくなっていた、黒騎士の鎧を真っ直ぐに貫通した。


「どわぁー!!」


 レーザーで体を貫かれた黒騎士は、血を吹き出しながら後方にぶっ飛ばされた。


「おい、今の俺は、お前に感情を操られたりはしない。これで止めだ!」


「ぐっ、やりやがって…もう仕事なんか知らん!おい、いるんだろ?剣を持ってこいよ」


 鎧がボロボロの黒騎士は、大声で誰かを呼びつけた。すると、二階の窓からさっき持っていた大剣が降ってきた。


「どっから来たんや」


「ファンの思いを、受け入れないなら死ねよ、キモグラ男」


 怒りが頂点に達した黒騎士は、アップロードスロットに、2枚のカードを挿入した。


「エモーションコラボバズルフィーバー!!」


 黒騎士の持つ大剣〈ヘイトバスター〉にオーラのエネルギーが集まり、巨大な光刃を作り出した。そして巨大になった剣を、両手で持ち上げた。


「俺に殺された奴らの怨念が、この剣に集まってくる。最大威力でキモグラ、お前への贈り物としてやるよ」


「オールジャンルバズルフィーバー!!」


「ならこれが、お前に贈る、俺のファンサービスだ!アホ騎士」


 裕二は、いつもの攻撃をする態勢を取る。


「前川さん!!」


「モグラ男!!」


 美香と八雲が大声で呼ぶ。2人の呼びかけが合図となって、裕二たちは同時に必殺技を放った。


「ダブルウームスラッシャー!!」


「ヘビーヘイトバスター!!」


 黒騎士の振り下ろした大剣が、先に裕二を一刀両断したかのように見えた。衝撃で地面が割れ、大きな亀裂が出来ている。


「捉えた…感触が…ない?」


 だが黒騎士は、攻撃の手応えを感じられずに、すぐ辺り一帯を見渡す。すると突然、死角となる後ろ方向からきた、裕二の鉤爪攻撃をもろに受けた。


「何、いつの間に……」


「周りをよく見ることだな、クソガキ」


 攻撃を受けた黒騎士は、一瞬で全てを察した。自分が斬ったのは、裕二が作った幻だということ。そして自分が敗れて死ぬことを。


「ズド―――――――――ン!!」


 裕二の必殺技を受けた黒騎士が、ゆっくり後ろに倒れ、大爆発して死亡した。


 爆発した敵を見ながら、裕二はそっとフュージョンコラボを解除した。


 ――――――――――――――――――――――――



『六本木東署』PM.23:54


「やったぜ!」


「すごいよ前川さん」


 美香たちが、大喜びしながら裕二の元に駆け寄ってきた。


「さすがにヤバかったぜ。自然回復が間に合ってなかったから、あと一撃くらったら逝ってたな」


「良かったですよ、無事で。ところであの時、何を考えて、敵の能力を無効化したんですか?」


「それ、俺も気になるな」


 2人は戦いの時、何を考えていたのかを、裕二に聞いた。


「あー、エッチなことだな。美香の万個の締まり具合とかを想像してた。憎しみに勝てるのは、エロしか男には無いで多分」


「…最低ね」


 聞いて損したと美香は思った。それに、生きるか死ぬかの戦いで、ろくでもないこと考えて戦う裕二に心底呆れた。


「まぁそんなことより、あんたらがいないと、あの化物共、どうしようもないことはわかった。マスコミ対応は任せて、今は行けよ」


「ありがとうございます。この件が終わったら、必ず全てをお話します」


「サンキューやで」


「でもこっちは、独自でこの件追うけどな」


 八雲はグッと拳を出した。裕二と美香は会釈をすると、足早に警察署を去って行った。


「八雲さーん」


「おー葛城、無事だったのか?」


 2人が去った後、八雲の元に、部下の葛城が走ってやってきた。


「ええ、鑑識のところにいましたんで。途中、例の男が来ましたけどね。それより表、マスコミヤバいですよ」


「そうか。こりゃしばらく帰れそうもないな…」


 やれやれといった表情の八雲は、葛城と共に戦いの影響で、今にも崩れそうな警察署に戻っていった。



 ――――――――――――――――――



 東京某所 『ウォンツ東京工事』


「どうするサトシ?裕二くんはまだ、無職の因子に完全には目覚めてないだろ」


「あと一押しなのは、間違い無いです。そろそろ、私自ら行きましょうかね」


 うす暗い部屋で黒間と岩田が、因子について話し込む。


「それはまだ早いだろ。あと一押しなら、もう一体ぐらい改造ニート作れないのか?」


「候補はいます。前川さんと同等の、因子の力を持つ者。ただ…」


「ん?何だよ」


「覚醒には、ちょっと根回しが必要です。協力してくれませんか?」


 岩田は黒間にある計画の協力を頼んだ。


「まぁ、いいよ。一緒にバッチリな世界をつくる約束、したからね」


「やっぱり、持つべきモノは仲間であり、同士であります」


 うす暗い部屋で、2人の男たちは静かに笑いあった。



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