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ウォンツマンZERO  作者: ビヨンド裕P
モグラ激闘録② 戦闘
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第11話 炎魔

スキャムマンの産み出す幻に惑わされて、焼きモグラにされ、屋上から落下した裕二。果たして生きているのか?

「死体の確認をしないと…あれ、いないんだが」


 スキャムマンは裕二がどうなったか、屋上から身を乗り出し、約100メートル下を確認するが、姿は見つけられなかった。


 ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!


 何やら下から鈍い音が鳴り響き、ぐらぐらとビルが揺れている。


「何だ、地震か?」


 スキャムマンが原因不明の揺れに気づいた、次の瞬間、足元がものすごく揺れ、なんとビルが崩壊し始めた。


 ズドン!ガガガーガガガーガラガラッガラガラ!!


「うわ――――――――――!!」


 屋上にいたスキャムマンは一瞬で崩壊したビルに、巻き込まれてしまい、瓦礫の下敷きになってしまった。地面に瓦礫ごと打ち付けられた後、なんとか瓦礫をかき分け、地上に姿を表した時、ガシッと何かに腕を持ち上げられ空中で磔の状態にされた。


「なんなんだよ、これはー」


「やっと本体を捕まえたぜ、、あのデカイビルを、ぶっ壊すの、大変だったんだからな」


(六本木タワーを壊しただと?てか、なぜ、あのモグラ男は普通に生きている?)


 実は裕二は落下中に、マポトのセフレゴーストのことを、思い出してカードを使用した。都合のいい女はできる女たちで、裕二のことをしっかり支え、地面への激突を防いだのだ。


 一方、そんなことは知らないので、状況を把握出来ず、マポトのセフレゴーストに四肢を掴まれ、宙に浮くスキャムマン。いい様だと言いたげな裕二は、ドヤりながらTKQ朴のカードを相手に見せつけ、スロットに挿入した。


「パワハラアップロードブレイク!」


「そいつらは、幽霊だけど、オーラが実態化しているから人やモノを掴めるんや。そしてパワハラは、相手よりも優位に立つと攻撃力が上がるんやで」


 裕二はグッと右脚に力を込めると、黒いオーラが右脚に纏わりつく。そして、ひねり回転を加えたジャンプをして、敵の腹に思いっきり足蹴りを叩き込んだ。


「くらえ、ラ〇ダーキック!!」


「どはーー!!」


 裕二の蹴りを受けた、スキャムマンは勢いよく吹っ飛び、後ろのビルに体を激しく打ち付けられた。ぶつかった衝撃で、敵が突っ込んだビルの壁には、大きな穴が空いている。


「なんと、まさかその力でタワーを破壊し、私を巻き込むことで、本体を引きずり出したと言うのですか……」


 立ち上がり、なんとか歩いてきたスキャムマンが、裕二に問いかける。


「あーそうさ。言ったろ、壊すの大変だったて」


「なるほど。しかしビルには、大勢の人間がいましたよ…あなたも立派なテロリストですね」


「知るかよ。全部、お前のせいだろ。俺は悪くない。悪いのは、戦いに巻き込んだお前だろ。これは、その結果でしかないで」


 ニート特有の責任逃れ理論で、裕二は大勢の犠牲が出た全責任を敵に押し付けた。


「あなたねぇ、周りの人間が、あなたがタワー破壊したのを見てたでしょう。そんな理屈通りますか」


「俺はお前に、操られていた。俺の意思ではやってない」


「あなたに幻は見せたけど、操ってはないだろ!改造ニートの脳内チップに、私の幻は通用しないんだよ!」


 敵に何を言われても、裕二は動じなかった。さすが高校卒業後、働けと10年以上親に言われても、気にせず実家に寄生し続けた男だ。他人の言うことなど、全く聞く気はないのだ。


 そうこうしているうちに、大勢の人がタワー崩壊直後から集まってきていた。そして2人の危険人物に、非難の声を浴びせ始める。


「ふざけるな化物!」


「なんてことしやがるんだ!」


「2人ともくたばれ!」


 スキャムマンはやれやれといった態度で、2枚のカードを同時にスロットに挿入した。


「周りのコバエも、そしてあなたも、もう目障りですね。私はねぇ、計画が自分の思い通りにいかないのが、一番ムカつくんだよ!!」


「ファイアーコラボアップロード!バズルフィーバー!!」


「もう全員、焼け死ね―――!!フレイムイリュージョン!!」


 スキャムマンの周りの赤いオーラが、どんどん真っ赤な炎に変わり、巨大な火の鳥の姿になった。そして勢いよく持っている杖を、裕二に向けて振り下ろした。巨大な火の鳥は、猛スピードで真っ直ぐに、裕二の方向に飛んできた。周囲にいた人たちは、一斉に逃げ始める。


「なんだよこれ、ふざけんな!!」


 裕二は右側に素早く避けてかわした。しかし鳥はすぐ方向転換すると、再び裕二に襲いかかってきた。


「マジかよ、また来た。どうなってやがる」


「ハッハッハーこれこそ、全てを焼き尽くし、灰にする、幻想的なイリュージョン!そして私は意のままに操れるのだ!」


 スキャムマンは逃げ回る裕二のいる方向に、杖を向け自由自在に、巨大な火の鳥を操って攻撃してくる。そんな中、何やら人影が猛スピードで、敵に向かって走ってきた。


「でも、その杖なかったら、鳥は操れないはずよね」


 スキャムマンの後ろから、なんと美香が現れて、一瞬の隙をついて敵の持っていた杖を奪った。


「何、しまった!」


「前川さん!」


 美香は敵から奪った杖を、裕二の方向に投げ渡した。裕二は投げられた杖をしっかりキャッチした。そしてピカキンのカードを、スロットに挿入する。


「お前、バカだろ。さっきといい、今といい、ちょっと上手くいくと調子にのって、周りが見えなくなる。だから手痛いのもらうねん」


「黙れ、黙れ、俺はカリスマなんだ。俺の言動、産み出すモノこそが真実なんだー!」


 自分よりも知能が低そうな裕二に、内面を見透かされたことに、さっきまで、余裕の態度を見せていたスキャムマンは動揺した。


「シャイニングアップロードブレイク!」


「美香――!!全力で逃げろよ、焼け死にたくなかったらな」


 裕二はピカキンの力で、とんでもなくまぶしい光を発光させた。


「うわ、ぐっくっ、まぶしいー!」


 あまりのまぶしさに、その場でスキャムマンは、右腕で思わず顔を覆った。一方、美香はいつものように、尋常じゃないスピードでどこかへ逃げ出した。


「くらえ前川流、火の鳥アタック!」


 裕二は持っていた杖を、敵の方向に向け、火の鳥をスキャムマンに直撃させた。直撃した火の鳥は大爆発を起こして、周囲を火の海に変えた。


「ズド―――――――――――――――ン!!!!」


「アア―――――!!!、こんなに炎は熱いのか――――!!」


 もろに自分の必殺技をくらい、スキャムマンは本当の意味で炎上した。どうやら炎を自在に操れても、体はしっかり燃えるようだ。


「よかったな、最後に自分の炎の熱さを知れて。そして、これで終わりだ!」


 裕二は持っていた杖をへし折ると、シャムのカードもスロットに挿入する。


「オールジャンルアップロード!バズルフィーバー!!」


「切り裂け、ダブルウームスラッシャー!!」


 いつもの一撃が、スキャムマンを完全に真っ二つに引き裂いた。


「ズバ――――――――ン!」


「ウギャ―――――――――――――――!!」


 スキャムマンは、自分で撒いた火種が原因で、最後は断末魔と共に盛大に爆発炎上して散った。


「いい歳して、火遊びするから、こうなるんだよクソダサ詐欺師が」


 戦いを終えて、裕二がドライバーからカードを抜き、フュージョンコラボを解除した。すると、何者から腕を掴まれ、ガチャっと両手に手錠をはめられた。


「えっと……何や、これ?」


「キミに聞きたいことがある。署まで来てもらおうか」


「えっ、え――――――!!」


 裕二は気づかなかったが、いつの間にか、大勢のパトカーや機動隊に囲まれていた。そして美香の姿も見えなかった。


(派手に人の多い都会で、暴れまわったから仕方ないか。てか、これからどうすりゃいいだよ。無職で前科者とか人生詰みだぞ)


 スキャムマンとの戦いで、六本木タワーは崩壊した。あちこちで炎の煙が上がっており、大勢の消防隊が消火活動にあたる。裕二は周りの景色を見て、自分のしたことの重大さにやっと気づいた。


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