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鐘楼の白い鳩が飛ぶとき (When the white dove in the bell tower flies)  作者: 湖灯
*****謎の女(Mysterious woman )*****
250/301

【サプレッション・プールの戦い①(Battle in the suppression pool)】

「いいのか?」

 敵の中に走って行くブレジネフを援護しながら、モンタナがフランソワに聞く。

「いいって、何が?」

「あれほどブレジネフを嫌っていたくせに、急に信用しちまって」

「ああ。ナトーじゃねえけど、俺はアイツに賭けてみることにした」

「なんで?」

「奴にとって大切なのは、この施設の安全な保管だろ。だからこうも派手に撃ちまくられて黙って見ているようなら逆に信用しなかった。奴が敵の仲間ならいつでも逃げる事が出来るこの位置を離れる必要はねえだろ。そうだろう」

「ああ、そうだな」


「トーニ君!」

「ブレジネフ!?」

「今から、そっちに行きますから撃たないで下さい」

 そう言ってブレジネフがトーニの所に来た。

「どうした?銃迄持って」

「邪魔は承知のうえで、応援に来ました」

「邪魔じゃあねえ。一人で全周囲見なくちゃならねえから助かる。オメーはこっちを警戒してくれ。囲まれちまって身動きがとれねえ。

「了解、爆発物は?」

「わからねえ。とりあえずダクトから落ちたときに、回路に接続するパソコンが駄目になっちまったからナトーが来てくれるはずだから、それまでここで凌ぐしかねえ」

「分かりました」

「いいか、敵に発見されるまでは、なるべく撃つな。敵に気付かれちまったら俺たちの目的もばれて囲まれちまう。そうなれば任務どころじゃなくなる」

「分かりました」


 サラと別れた後、建屋の端を通り中心部を抜ける。

 サプレッサーを付けているとはいえ、広いサプレッション・プールのあちこちにある配管の束に当たる銃弾の音までは隠せない。

 自動小銃を装備している敵が、通路を突破したくても未だにここに留まっているのは、モンタナたちが高い命中精度で敵の足を止めているからだろう。

 少し歩くと、爆発物らしき物を見つけた。

 だが、そこにまだトーニは居ない。

 爆発物を守るように2人の敵が居て、その向こうにも数人の敵が居る。

 そしてその向こうにトーニの気配を感じた。

 機械の上のダクトが、壊されたのではなく壊れている。

 なにせ40年近くメンテナンスされていないのだから、こういう事もあるだろう。

 敵に発見されなかったのは、おそらく戦闘が始まってから壊れた事と、丁度落ちた場所を囲むように装置がレイアウトされていた事の他に、慌てなかった事。

 慌てて動き回ると目立ってしまい、敵に発見されてしまう。

 発見されれば、イチコロだ。

 トーニの居る向こうには更に多くの敵が居て、モンタナたちと戦っている。

 いずれも配管が視界を遮っていて、体の極一部しか見えない。

 兎に角、爆弾に辿り着けるようにしなければならくて、それが出来れば自ずとトーニも救う事が出来る。

 放射能測定器を見ながら、敵に近づく。

 炉の真下を通れれば安全に一番早く爆弾に辿り着く事が出来るが、そうすれば被ばく量も大きくなってしまう。

 測定器を見ながらなるべく100ミリシーベルト以内に収まるように近づき、チアッパを構えて爆発物の傍に居る2人のうち、1人に狙いを付けて射殺した。

 仲間が倒れたのを見て、もう1人の敵が仲間に声を掛けて周囲を見渡す。

 気付かれないようにパイプの隙間から次弾を発射して、もう1人も射殺した。

 2人の死体のそばにやって来た敵に、私の撃った弾が当たった瞬間を見られてしまい反撃を受ける。

 フルオートで撃ち出された幾つもの銃弾が、そこらじゅうの配管をノックして火花を散らすが、デカくて遅いAS Valシャフトの9㎜弾は配管に大きな穴はあけるが貫通しなかった。

 厚さ10㎜の鋼鉄を貫通するエネルギーを持ちながら厚さ3㎜×2程度の配管を貫通出来ないのは、銃弾の先端に空洞を設けてワザと弾を横転させ破壊力を増大させるように作られた専用銃弾のせい。

 1枚板なら、銃弾のもつ16gと言うエネルギーを逃がすことなく対象物に打ち付ける事が出来るが、内部に空洞がある場合はエネルギーが分散するため貫通力が低くなってしまう。

 かと言ってこっちの22LR弾(2g)ではエネルギー量が小さ過ぎて、チアッパで発射しても配管1枚に穴を開けるのが精一杯。

 つまり破壊力は違っても、貫通出来ないって事に関しては、五分五分と言う訳だ。

 とりあえず敵の正確な配置を知りたいからメリッサを呼んだ。

「メリッサ、どこに居る?」

「ナトーちゃん!私は今サプレッション・プールの東側で、入り口に近付こうとする敵の監視をしているわ」

「その一帯に居る敵の人数は?」

「7から10。パイプが多過ぎて、よく確認が出来ないの」

「いいか、もう直ぐカール達が応援に駆け付ける。恐らくブラームたちも合流するはずだ。メリッサはそれまでそこに張り付いて、状況をモンタナたちに教えてやってくれ」

「その後は?」

「ここまで来てくれるか?」

「やってみます」

「頼む」

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