【敵補給部隊発見!②(Enemy supply unit found!)】
「よく考えたものね」
「そうだな」
もっと人の居ない時刻に来たり、小型潜航艇の様な特殊な船で来たりするのかと思っていたら、意外にも海上輸送の許可を取った業者の船で堂々と乗り込んできた。
「しかし本当に彼等なの?」
「答えは直ぐわかる」
暫くして自転車の音が近付いて来て、そして遠ざかって行った。
ハバロフが撮影したカメラを届けに来たのだ。
河原の道に上がり、切り株の上に置かれたカメラを回収して見ると、トーニが撮影したあの別荘に置いてあったダークグリーンのトラックが荷物を取に来ていた。
「間違いないわね」
「さあ、奴等をお見送りするぞ」
「OK!」
遠くからボートの音が聞こえて来たので、私たちは慌てて河に飛び込んだ。
さあ、ここからはエマの出番!
エマが、そのスーパーボディーと天才的なエロティシズムでボートの男どもを挑発して、相手の関心を引けば次の作戦に繋がる。
“頼んだぞエマ!”
振り返るとエマの目がキラリと淫靡に輝く。
準備OKと言う所か……。
岬の端からボートが見えて来る。
いよいよだ!
ところがボートの男たちは、こちらを見てはいるものの、さっきほど盛り上がっていないように見える。
つまり水着の女が居るから、物欲しそうにみているだけ。
“エマ!?”
振り返ると、さっきまで私の後ろに居たはずのエマの姿が見えない。
“どこ!?”
まさか敵を捕らえたと思っていたが、まさか逆に敵の罠にかかったのか!?
敵には、私の姉とと名乗り幾つかのヒントと謎を残す、あのサラと言う女が居る。
サラが関与しているとなれば、私の裏をかくのは容易い。
“さっきカメラを持って来たハバロフが、つけられた……”
ふと、そう思った瞬間、何者かが水中から私の股下に潜り込み、水面から私を突き上げる。
“しまった!!”
慌てて飛び降りたいが、逃げられない様に胸を拘束された。
“胸!??”
激しく下から持ち上げられた自分の胸のせいで、私を肩車している者の姿は見えない。
だが、この掴み方で分かる。
“エマだ”
と言うか、呑気にしては居られない!
肩車して下から胸を絞り出すように持ち上げられた胸は、私の両頬の辺りまで持ち上げられ、それに追従しなくてはならないはずの水着は限界を超えて今にも胸が零れ出してしまいそう!
って言うか、既に水着はズレ落ちだして、見せてはならないはずの端っこが露わになりそうになっていた。
「わーっ!やめろエマ‼」
必死で胸を隠し、止めるように声を上げるのが精いっぱい。
「おぉっ‼」
私の叫び声が聞こえたのか、ボートの男たちの歓声が聞こえる。
いや、男たちは初めから見ていたから、ひょっとして見られたのかも……。
恥ずかしくって手で顔を覆いたい。
でも、そうすれば胸がポロリしてしまう。
この攻撃から逃れる手は2つ。
思いっきり体を後ろに反らせて肩車の状態から逃れるか、両脚を高く上げて腰をずらしてエマの後ろにズレ落ちるか。
体を逸らせた場合、確実に水着は伸びしろの限界を超えて胸がポロリしてしまうのは確実。
両足を高く上げて後ろにズレ落ちればポロリは回避できるが、脚を高く上げる行為そのものがセックスアピールする行為となり、更に恥ずかしい。
“どうする!?”
既に抑えた手の中で、確実に水着は後退を続けていて“手ブラ”状態になるまで一刻の猶予もない。
仲間に喜んでもらえるのであれば多少の我慢もするが、こんな所で敵となる奴等に見られたくはない。
仕方なしに私は思いっきり脚を高く上げた。
「おぉっ!!」
また歓声が聞こえた。
しかし、それも一瞬で、私の体は水の中に消えるはずだった。
しかし現実は、そうならなかった。
何故か私の体は、水面に落ちるどころか、逆に高く持ち上げられていた。
エマが私の行動を読んで、脚を高く上げた瞬間に胸を持ち上げていた手をお尻にずらして自分の頭の上に私のお尻を乗せたのだ。
今までお世話になっている親友の頭を、お尻の下に敷いてしまうなんて……。
いやこれはその親友エマが故意にしたことで、それよりも問題は自分自身の晒している姿。
今まで思いっきり持ち上げられてポロリしそうになっていた水着を自分の手で限界まで上に引っ張り上げていたと言う事は、伸縮性のあるワンピースの水着全体が上方に延ばされていたという状態。
必然的に下側の生地も上に引き伸ばされる格好となり、過激な下半身事情になっていることは見なくても容易に想像できてしまう。
慌てて開いた脚を閉じると、また歓声が上がる。
屹度今度はお尻のラインが鮮明になったのだ。
“もう!エマの馬鹿‼”
と、その時、何かが弾けた様な気配がしたかと思う間もなく、それまでより一際高い歓声が聞こえた。
“何!??”
一瞬何が起こったのか分からなくて先ず自分の姿を見渡したが、原因が私では無い事はお尻を支えていたエマの手が離れた事で直ぐに分かった。