オカルト研究部
カーカーと鴉のなく声が聴こえる。
そんなことを思いながら私は、真夏の日差しが沈み始める時間帯に本を読んでいた。
なぜって?それは、とても、静かだからだ。
バカみたいな下ネタ話でゲラゲラと笑う男子もいなければ、感情を、意見を共感し、マウントを取り合うような女子もいない。そんな平和な時間が訪れる部室が好きだ。
オカルト研究部と名乗っているこの部活は知り合いの先生に顧問になってもらっている。もちろん、先生の弱み……いや、話し合いによって正式に部活として認められているが、一つ問題がある。それは、部活動である以上、知らない生徒が部員として入部しようとしてくることだ。
そう、特に……
「八霊君、八霊君!!今日も読書してるの~?一緒にオカルト研究部っぽい活動しようよ~!!ねぇ~ねぇ~ってば!!」
この、いま、私の読んでいる本の目の前にいる女は空気を読まない。
というかやめてほしい、手元を揺らすのは本当にやめてほしい。
道永 淋漓と呼ばれる彼女は、クラスの人気者とまではいかなくともそれなりにクラスメイトと仲が良くそれなりのプロポーションを持った女子だ。
もっと具体的に説明するなら以下のようになる。
--------------
・ウェーブのかかった紫髪、着崩した制服、アクセサリーなど見た目は今風の女子高生で、童顔、巨乳(Cカップ以上Dカップ未満?だと思う)。
・コミュニケーション能力は高く、言葉遣いもそれっぽい、あと、なんか知らないが私に対しては空気を読まない行動をしてくる。
--------------
「やめてほしんだが……」
「えぇ~なんで!!私、おかしなこと言ってる?部活動やろうよ~!!八霊君~!!」
本を読んでいる私を後ろから抱きしめてくる。
そうすると当然、女子特有の胸についた柔らかい物体が私の背中に当たるわけで、ムニュンという擬音が似合いそうなほど柔らかい感触が背中を通じて脳ヘ伝達される。
まあ、不思議なことにこいつのだと、いっさい興奮しないのだが。あと、さっきから前後に揺さぶられるおかげで少し頭が痛くなってきた。
「しつこい!!人が本を読んでいるのに邪魔をするな!!」
読んでいた本を閉じ、その本をリン脳天に目がけて叩きつける。
「あぅ!!……痛い!!痛いよ~八霊君、これでも私、女の子だよ?」
「ほう~どうやら、もう一発食らいたいようだな」
「う!冗談!冗談だから!!さっきより分厚い本を右手に持たないで!!」
「……判かればいいんだよ、判れば」
私は右手に持っていた六法全書の要約版を鞄に戻す。
にしても、重いなこの本はあいかわらず。
これ、詰まるところ、法律も物事は物理で解決しろと言っているのでは?
「で、何をするんだ?」
「え?」
呆けた顔をするリン。
「え?じゃないだろ、お前が部活動するといったんだろ?やらないのか?」
「う、ううん。さっきまで嫌がってたからてっきりやらないものかと思って」
「誰もやらないとは言っていないだろ。ただ、読書の邪魔をするなといっただけだ」
「そうだね!!うん、それじゃ、部活動しようか!!」
切り替えるの早いな。
「で、何をするんだ?」
「なんとね、今回は、面白い情報を仕入れてきました!!」
「その面白い情報とは?」
「最近話題になってる。テケテケについての情報です!!」
「テケテケ?なにそれ」
「え!!知らないの!!八霊君!!噓~~!!」
「知らない」
「それじゃあね、教えてあげるね。テケテケっていうのは、下半身がなくて、上半身だけで夜の道を徘徊するオバケだよ!!」
「ふん~それで?」
「え、ええとね。夜道で出会った人の両足を引きちぎって持っていっちゃうんだって!!」
「なぜ?」
「ええ、自分の足が無いからじゃないかな?」