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空想科学オカルト小説 南方呪術島の冒険  作者: 雲居 残月
第八章 古より蘇りし呪術的世界
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第五十三話 闇の中の導きの光

 折り重なった木々の先に、強い明かりが見えてきた。ヘッドライトだ。ジープの照明が森に向けられていた。その光を頼りに、レオナルドは車のところまでたどり着く。

 アルベルトは襲撃者たちが残した銃で、ジープに群がる虫を撃退していた。二人は危険を冒して、レオナルドの帰還を待っていた。


 マリーアがほっとした表情を浮かべる。アルベルトが、レオナルドの全身を観察する。


「大丈夫だったかい?」


「ギレルモは死んで、僕は生き残りました」


 それ以上は説明しなかった。アルベルトはうなずき、なにも尋ねなかった。


 ジープに乗り込み出発した。レオナルドは島の地図を手に持ち、道を伝える。虫に何度か襲われながら、ジープで行けるところまで進んだ。道がなくなり、森の闇が前方に立ち塞がる。


「ここからは歩きだね。荷物を三人に分けて運ぼう」


 アルベルトは運転席から降りて荷台に回る。レオナルドとマリーアも追いかける。アルベルトは、二人にリュックサックを手渡した。


 リュックサックには、クライミングロープや、ダイナマイトや起爆装置が入っている。さらに、密林の行軍に必要な水や食料も荷物に含まれる。七本のロープは一本あたり五キログラムある。

 ダイナマイトは、単体での威力はたかが知れている。どれだけ持っていけるかが正否に関わる。そのため一本数百グラムのダイナマイトを、各人が持てるだけリュックサックに詰め込んだ。


 その結果、レオナルドの荷物は二十キログラムを超えた。マリーアも十キログラム強を持つ。アルベルトは四十キログラムほどを運ぶことにした。レオナルドは、自分の主張した爆破作戦が、どれだけ大変なことか思い知った。


 重さに歯を食いしばりながら木々のあいだに足を踏み入れる。虫の襲撃を避けるために懐中電灯の光は最小限にする。そのわずかな光を頼りに、レオナルドは喘ぎながら歩く。

 苦痛の悲鳴を上げたのはレオナルドだけではない。マリーアも荒い息をして必死に歩いている。唯一アルベルトだけが、息を乱さず進み続けた。


 レオナルドたちは、コンパスを頼りに目的地に向かっていく。しばらくすると、磁針が正しい方向を指さなくなった。


「困ったな。火山の近くでは、磁性の強い土地がたまにあるんだ。これでは方角が分からない」


 アルベルトが険しい表情を浮かべる。手掛かりがなければ迷ってしまう。陥没穴にたどり着くことはできない。心がくじけそうになる。

 汗みどろの額を拭いたマリーアが、素数の位置を重ね合わせた地図を出して、斜め前方を指差した。


「石像の場所ははっきりと見えるわ。だから、ここがどこなのか分かる。あっちに行きましょう。虫の多い石像の周辺を避けながら進めるわ」


 マリーアの言葉を聞き、レオナルドとアルベルトは顔を見合わせて驚いた。

 レオナルドは彼女の能力を思い出す。マリーアは石像の場所を知ることができる。この闇の中、マリーアだけが、石像の呪力を松明の光のように感じることができる。


 アルベルトが、微かに笑い声を上げた。


「人間や犬、鳥や虫。動物たちは、それぞれ独自の感覚を持っている。体の大きさも、一生の長さも異なっている。そうした生物たちは、同じ場所に生きていながら、全く違う景色を見ているんだ」


 マリーアの力に感動したのか、アルベルトは饒舌に生き物を賛美する言葉を述べた。しかし明るい調子の声には、隠せない疲労が混じっていた。


「行こう」


 レオナルドは二人を促す。全身の力を込めて足を前に動かす。レオナルドは荒い息を吐きながら、呪力の中心へと近づいていった。

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