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空想科学オカルト小説 南方呪術島の冒険  作者: 雲居 残月
第四章 火山洞窟の攻略
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第二十八話 王の誕生

 二年前、父の日記を取り戻して燃やしたあと、集落内で最後の戦いが近づいているという気運が盛り上がった。

 母は古老たちのあいだを周り、息子を王と認めるようにと説いた。集落では百年以上、王を置いていない。

 盛時は七つあった氏族は、五十年前には三つしか残っていなかった。今では往事の一氏族に満たない数しかいない。その人数で王を戴くことを、人々は考えていなかった。


 ――最後の王。


 テオートルの母が口にした言葉が、集落を動かした。団結の証として、これほど相応しいものがあるだろうか。

 あと二年で全ては決する。そのときに向けて、先祖たちの社会を復活させる。人々は、伝え聞いた往事を蘇らせようとして、多くの労力をかけた。


 一年後、口伝から復元した儀式がおこなわれた。この文明では、呪術はゆっくりと進む。王の継承儀式も、七回の月の満ち欠けを経たのちに実施された。

 テオートルが客人の血を引いていることは問題にならなかった。父は賢者の一人として、集落で認められていた。


 テオートルは虫と融合する呪術を使い、全身をきらびやかに飾る。蝶の羽をまとい、甲虫を宝石のように肌にちりばめる。

 月明かりの夜。集落中の人間は焚き火の周囲に集まった。燃える炎に照らされたテオートルは、七色に包まれる。神々しい光を放ちながら、彼は宣言する。


「今日、俺は最後の王になった。俺たちは入植者たちの下に置かれている。力を持たない俺たちが、この屈辱を解消する方法は一つしかない。全てを無にするのだ。我らの心の救済のために、この島に死をもたらそうではないか」


 焚き火を囲む人々は熱狂に包まれる。先住民たちは理性を捨てて感情に身をゆだねている。

 強大な外敵がいるとき、人は団結して死をいとわなくなる。先住民たちは終わりの日に向けて陶酔を強めた。その様子を見ながらテオートルは、激しい興奮を覚えた。

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