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プロローグ~ある少女の話~
彼女は、ただ欲した。自分にとって最高の『友達』を。
物心がついた時には父は既におらず、母親もまるで自分を見捨てるかのように去っていった。代わりに残ったのは、実験動物のように狭苦しい家に閉じ込められて過ごすだけの毎日である。自分の世話をしてくれる、という母の知り合いも自分に実験動物以上の感情を抱いてるとは思えない。
だから、欲するのだ。自分の傍にいてくれる誰かを。自分の孤独を埋めてくれる存在を。
ただただ、寂しくて寂しくて仕方なかった。彼女は自分の空白を埋める以外、何もなかった。