魔族の王
「アンダデス。そちの愚直は余の愛でるところであるが、それゆえの過ちもある。大局に
立つことを覚えるが良い」
「陛下。不甲斐ない私になんともったい無いお言葉を。。。私が間違っておりました。どうかお許しください」
「うむ、許す。だがその前に。」
「そこの人間の子よ。余は七曜の魔王が1人、イグニアスだ」
魔王と名乗るイグニアスがこちらに声をかけてきた。ずっと目を閉じているので
姿形は見えないが、その存在から気を抜けばひれ伏してしまいそうな凄まじい圧力を
感じる。ただ、相手は悪魔であれ、王らしい。王が自らの名前を先に述べ
こちらが名前も言わないなど不敬の極みであろう。
「王様。わたしはこの山林の近くの村に住む、ミュウと言います」
「ふむ。ミュウと申すか。ではまずは契約だ。この山林にいるうちは余の配下の悪魔はお主に害を及ぼさない。これで当座のお主の安全は保障される。問題なければ目を開けるが良い」
ミュウはあまりの好条件に驚いた。アンダデスは兎も角、このイグニアスはリスクなく今すぐにでもミュウを殺せるからだ。
「はい。問題ありません。王様」
そう言ってゆっくりと目を開く。
そこには2人の偉丈夫が立っていた。
そして
「自分が助かるためとは言え、アンダデスをも生かす方策。見事なり。まずは先程の契約をアンダデスと結ぶがいい」
「はい。王様。アンダデス将軍との今日のやり取りは一生他者に漏らしません。アンダデス将軍。受け入れてもらえますか?」
「承知した!」
と短くアンダデスは合意した。
「しかし、そちはおかしな人間よの。
我らを見てそのように冷静でいられるとは。。。ふつう慌てふためくか、泣き叫ぶものだぞ。誰ぞの薫陶でも受けたのか?」
「ハハハ・・・。冷静とはいえなそうです。今も足が震えていますよ。。。でも色々考えられたのは村で先生をしているヨドン先生の教えを受けたからです。ヨドン先生は事あるごとに言っていました。現実に向き合い、何事も冷静に且つ熱意を持って対処すれば、それなりの結果を生むものだ。力及ばない時もある。ただ、やれることがあるのにそれをやらずに
おくのは怠惰というものだ。怠惰が招くのは大抵ろくでもない結果だ。もちろんやれることは最初は少ない。だからやれることを増やすのが学問だと。」
「ふむ。そちの師はヨドンと申すか。含蓄のある言葉だ。だが、やれることを増やしたとしても、様々な要素が絡む中、手段を正しく選択し、実行するのは非常に難しいことだ。それをやれるそちはやはり相応の才能の持ち主であろう。どれ。」
そう言うと、イグニアスの赤い眼がさらに赤くなった気がした。




