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魔族の将軍

ミュウはいつものように山林には入り、いつものように獲物を狩っていた。

ただ、その日は妙に空気が重く澱み、なんとなく身震いする類の気配が感じられ

たことから早めに狩りを切り上げ村に戻ろうと思案していたところ、それは突如現れた。


動けなかった。

ミュウの視界内にはなにもいない。だがそれは確実に「背後」にいるのだ。


「ほう。。。お前は認識できるのか。私の存在が」


落ち着いているが太く低い男声だった。その声を聞いた瞬間、ミュウは身体中に鳥肌が立つような

悪寒がした。・・・直感的に分かってしまったのだ。これは人間の声ではないと。


ミュウは内心恐慌に陥りそうな凄まじい恐怖に耐えつつ

必死に逃げたいという衝動を抑え込んだ。本能が叫ぶ。逃げたら殺されると。


「ほう。。。賢明な判断だ。お前のような子供がな。私は賢いものが好きだ」

「よって機会を与えよう。こちらに向くことが出来ればお前は助かるだろう」

・・・

「どうだ。簡単な事だろう?ほら早くこちらを向くのだ」


冗談じゃない。この濃密な闇の気配・存在感。魔物よりもさらにさらに。。。

これはきっと魔族だ。普通の人間には到底太刀打ちできないという。


彼らは契約は守るが人間とはまともな取引はしないと聞く。

きっと、振り向けば死ぬかそれに近い事態となるに違いない。

神官さんの説法を聞いておいてよかった。。。


「あまり待たせないでほしい。私はこう見えても忙しい身でな。ああ。まだ見えていないか。ハハハハハ」


魔族はご機嫌だ。ちくしょう遊ばれてる。

だが、賭けになるが突破口が見えた。


「本当にそちらを向いたら、助けてくれるのですか?」


「初めて口を開いたか。。。当然だ。早くこちらを向くが良い」


「それが本当なら、これは契約ですか?」


魔族は一瞬意表を突かれた様子だったが、すぐにこう言った。

「・・・いいだろう。これは契約だ。後10秒だ。それまでにこちらを向いて無事なら助けてやろう」


よし。第一関門突破だ。しかも予想通りそっちを向いたら

無事じゃないことを示してる。だがまだベストじゃない。


「ちょっと待ってください。契約の条件の確認ですが、そちらを向いてから10秒無事なら助けてくれるというものでいいですか?」


「ええい。それで良いので早くこちらを向くがいい」


うん。やれることはやったか。。。

良いとこ、半々の賭けだが、他に状況を打開出来る手もない。


ミュウは思い切って背後に振り返った。


1

・・

・・・

2

3

4

「小僧・・・・」


5


「何故目を閉じているっ!」


よし、第2関門突破!

6,7

ミュウはゆっくりとのたまった。

「何故と言われてもそちらを向けと言われたから向いただけです。何か問題が?」

8,9,10・・・

「私の石化の魔眼の事を知っていたのか・・・」


「だが、所詮は浅はかな人間の小僧よ。確かに私の目を見なければ石化はしない。ただし私が本気で魔力をこめなければという条件付きだがな」


「あの・・・もう10秒過ぎてますよ」


「10秒?それがどうした!あれは後10秒でこちらを向けというけい・・や・・・」


魔族は少し前のやり取りを反芻し


「・・・小僧・・・・私を謀ったのか・・・・10秒の意味をすり替えおったな!」


「すんなり乗ってくれて助かりました。ただし、契約は契約。守ってくれるのでしょう?」


「・・・」


「ハハ・・ハハハハハ!・・・人間に・・・しかもこんな小僧にここまでコケにされたことなぞいままでなかったわ!ハハハハハハハハ!」


魔族は一頻り洪笑した後、スゥっと息を吸い打って変わって厳粛な雰囲気となる。

う・・・これはまずいかもしれない・・・


「その機転と胆力。素晴らしいぞ。認めよう。人間よ。お前は魔将が1人、このアンダデスの

手をまっこと逃れたのだ。」

「だが、お前は私とここで死ぬのだ。」


「魔族の契約は絶対。それを破棄したものの存在力は失われ魂すら消滅する。だが私にも譲れないものがある。魔族の存在力は人間の恐れに拠るところが大きい。恐れが無くなれば我々は存在を保てないのだ。お前が生きてこの真実が世に広く知れた時、魔族は少なからず力を落とすであろう・・・私は責任を取らねばならぬ。お前はよくやった。人間の子供よ。だがここまでだ。」


アンダデスはそう言うと、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。

最後の関門。。魔族が契約破棄する可能性が現実のものとなった。

だが、まだだ。まだ生き延びるチャンスはある。


「少しだけ待ってください。死ぬ前に教えて欲しいことがあるのです。」


「・・・いいだろう。何が知りたいのだ」


「先程アンダデス将軍が仰っていた契約の事ですが、契約の破棄をもし私がした場合

どうなるのでしょうか?」


「それは我々魔族と同様に魂が消滅する」

よし!それならば。

「ではアンダデス将軍。僕と契約しませんか?」


「なんだと!?」


「契約を破棄したら魂が消滅するんですよね。ならば契約内容は"今日のこの件を誰にも伝えない"です。」


「!!!!?」


「アンダデス将軍はこの件が広まって魔族の力が落ちることを防ぎたい。僕は死にたくない。双方の望みを叶えた契約だと思いますがいかがでしょうか?」


「それにね。僕は魔族というものはもっと邪悪で問答無用で人間を害するものだと今まで思っていましたが、アンダデス将軍は違いました。危うく殺されそうに、今も殺されそうですが貴方は筋が通っており潔い方だと思います。それに自分の命よりも種族全体のことを優先するなんてなかなか出来ないことです。そんな貴方は恐らくですが多くの人に慕われているのでしょう。僕は貴方も死なせたくないと思いました。保身と思われるかもしれませんけど。」


・・

・・・


「・・・なるほど、お前は最後まで諦めぬのだな。だが・・・私は・・・・」

そう言ってアンダデスはミュウにゆっくりと近付いてくる。

ちょっと待て。ちゃんとウィンウィンの関係を提示しただろうが!

頑固キャラやめてぇえ。


このままでは殺られる。だが、良い手も浮かばない。

その時だった。

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