序章 【§01】 地球上にダンジョンがあられた
人類は増えすぎた。
今、地球上では、人間は生存することができなくなっていた。
いまから少し前、環境は一気に変わった。
地球温暖化による平均気温の上昇、異常気象の発生。大気汚染、水質汚濁、土壌汚染による生態系の破壊。オゾン層減少によって太陽から降り注ぐようになった大量の紫外線。
その急激な環境の変化に、人間はなすすべもなく倒れ、人口は一気に減少した。
そんな壊滅的環境から逃れるため、人類はあるものを急ピッチで建造させた。
『シェルター』
ある範囲内のみを透明な特殊硬化板でドーム状に覆い、その中の環境だけを浄化。人類は広大な砂漠の中のオアシスを作り上げたのだった。
現在、人類はそのシェルターの中で暮らしている。
とても狭い、限られた生活可能区域。その中で人々は一生懸命に生きていた。
必死に地球の環境改善の方法を探し、またいつか広大な土地で過ごすことを夢見ていた
そんなある日、あいつらは現れた。
『モンスター』
謎の生命体が、特殊硬化板の向こうからやってきたのだった。
その生命体は、人間たちが想像の世界で描いていた「モンスター」に姿かたちがよく似ていたため、そう呼ばれるようになった。
その正体は謎。なぜ急に表れたのかも謎。どこで生まれたのかも謎。
しかしそのモンスターたちの行動には一つの統一性があった。
人間を襲う
魔物たちはどんどんとシェルターに集まってきた。
特殊硬化板の向こうに群がるモンスターの群れ。硬化板が壊れるのはいつか、いつかと人々はびくびくしていた。
そんななか、ある観測結果を、東京シェルターの研究者が発表した。
『ある地点の環境汚染度が、人間の生存可能値になっている』
この発表は、世界中の人類を驚かせた。
あの地獄のような世界の中に、人間が住めるような場所があるのかと。
観測機の誤作動だろうと疑ったものも多かった。
しかし、いくら観測しても結果は同じだった。
人類は喜んだ。
そしてその地点の研究が始まった。
生存可能範囲の特定、環境汚染度のさらなる正確な値、生存可能範囲の形状など、さまざまな項目をありとあらゆる技術を駆使して観測した。
そして、3つのことが分かった。
一つ目は、その場所は本当に人間が生きていける環境であった、ということ。
二つ目は、その場所はシェルターから約数百メートルというものすごい近場にあり、どうやら地下空洞になっているらしいということ。
そして三つ目は、その地下空洞からモンスターが這い出てきているということ。
人類は落胆した。
もしかしたら地球環境改善の糸口になったかもしれないのに、そこにはあの見た目凶悪な、人間を襲おうとする魔物がいたのだから。
しかし、人類はあきらめなかった。
人類はさらなる研究を始めた。
今度の研究内容は、『魔物とは』であった。
そして今日、第一回「ダンジョン遠征」行われる。