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憤怒の音姫は旅にでる 共通① 慈悲

―――私は音楽の国、トオンキーゴのプリンセス。

国で生まれた人や旅人は皆音楽の才能があるんだけど私は音痴、楽譜が読めない。

おまけに楽器に触れると壊れる。


毎日が地獄だと悲観しながら生きてきた。

そしてある晴れた日のこと、周りにある小国から婚約者候補が募られた。

執事・ディオノールは私の様子をうかがう。

お城で開かれているのは社交パーティー兼私のお婿探し会なので、当然の質問だ。

彼は私が小さな頃から使えていて、私は妹のような感じなのだろう。

それ故にいい相手はいるのか気になっているようだ。


「カレプレン第7王子セヴィレンズ」


―――私の目の前に断トツ一位の王子様が現れた。


「貴方はなんて素敵な王子様なんでしょう」


顔を会わせた王子全員に社交辞令で言っている言葉に感情を込めながら言った。


「おめーみたいな温室育ちの姫様大っ嫌いなんだよバーカ音痴」


さっきまでニコニコと笑っていたのに突然ゴミを見るような目でこちらを見据えながら罵られた。


「コラ王女殿下様にむかって!死罪になってしまうぞ!!」

「拷問だろうが死罪だろうが好きにしろよ権力を傘に着るクズめ」


―――その後セヴィレンズ王子は投獄された後に神隠しにあったそうだ。


「もうなんなのよ!!こんな国にいられるか!!私は旅にでる!!」


まずは歌の下手な仲間がほしい。というわけで、声が汚いと噂のハーピー族のところに行った。



「ガガガ~ピキィイ~」

「うおっすっげえ音痴!!俺を弟子にしてくれ!!」

「はあ?」


いきなりハーピー族の少年が現れた。

フワフワの耳が生えただけの人間みたいなビジュアルだがかわいい。


「フォッフォッよかろう!弟子にしてやる。なんて」

「俺ハーピー族なんだけど、お前は仲間じゃないとか追い出されたんだ」


「フォッフォッどれどれ師匠が聞いてやるかの……歌ってみて」


「ラーララララ」

「ううう……歌の上手いハーピーだなんて!さよなら」

「まってよ師匠!師匠はハーピーに相応しい音痴だから俺も師匠がいればハーピー族に帰れるんだよう!」

「しかたないなー」


私は歌が上手くなりたいので、歌の上手いモンスターを探した。


《ルルルル》

「マーメイド族の男!?」


水色で長い髪の男人魚。


《フンフフンフフ》

「セイレーン族!?」


鳥のような翼を持つだけで人間とあんまり変わらない男。


「なんで歌の上手いモンスターにばかり遭遇しちゃったの…」

「泣かないで師匠!いつか師匠の歌をわかってくれる人があらわれるよ!」



村人達が通りすがりに声をかけてきた。


「そっから先は音ヶ(ミュート・キャッスル)だぜ、楽器もってんならやめとけ」

「ミュートキャッスル?」


消音の城、ちょっと意味がわからない。


「そこの新しい王は歌や楽器を禁じてるんだ」

「へー」


私は取り合えず三人を仲間にして鬼ヶ島ならぬ音ヶ城へ向かうことにした。

音楽嫌いの理由はわからないがその王の気持ち、とてもよくわかる気がする。


「ところで姫はなぜ音楽修行の旅を?」

「私の国では音痴は結婚できない決まりなのよ」



たとえばとなりの絵画の国は絵が上手くなければならない。

私の住む音楽の国では歌と楽器の力がすべてなのだ。


もっとひどい他国の決まりでは美しいのしか住めなかったり、金持ちしか住めなかったりより、理不尽な規律が存在する。

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