ベルの第一歩
時間がなかったので短めです。
次の日もルシアは僕の家を訪ねてきてくれた。
今日は道場に行く日なので、申し訳ないがルシアには適性を調べたら帰ってもらおう。
そう誓いながらルシアの待っている部屋へ駆け足で向かった。
「お待たせルシア。」
「ベル。おはよ~。」
「おはよう。ちょっといいかなルシア。
昨日僕も知ったんだけど、どうやら魔法には適性っていうのがあるんだよ。
それで昨日ルシアが魔法を使えなかったのは適性がなかったからかもしれないんだ。」
「そうだったんだ。じゃあどの属性の魔法だったら使えるんだろう。」
「それを見るのがこの水晶さ。これに手を触れると自分の属性がわかるんだよ。」
これは昨日母さんから借りておいた。
ルシアに水晶に触れてもらう。
すると水晶からは青と白と緑の色が見えた。
また輝きも兄ちゃんほどではないがそこそこの輝きを見せている。
「ルシアは水・氷・光の魔法に適性があるみたいだね。」
「ほんとに。じゃあ私回復魔法も使えるの?」
「そうだね。」
「やった。これで夢がかなう。」
「夢って何?」
「なんでもないよ。それよりも早くアリスおばさんのとこに行こう。」
「えっと・・・。そのことなんだけど、実は僕、剣術も習っていて2日に1日は訓練しないといけないんだ。だから今日は行くとしても午後からになるかな。」
「えっ。そうなんだ・・・」
ルシアが残念そうにうつむく。
僕はルシアがそんな顔をしているのを見て心が苦しくなった。
『おい、ベル。かわいそうだから道場まで一緒に来るか聞いてみろ。』
『でも兄ちゃん。もし断られたらどうしよう。』
『大丈夫だから聞いてみろって。このまま返すのはいやだろ。』
『うん・・・。わかった。聞いてみるよ。』
「ねぇルシア。も、もしよかったら一緒に道場までいかない?」
若干裏返ったけどちゃんと誘えた。
「うん。一緒に行きましょう。」
『やったよ、兄ちゃん。』
『よくやったベル。じゃあ俺は魔法の練習に集中するからあとはがんばれよ。』
『うん。ありがとう兄ちゃん。』
その後僕とルシアは一緒に道場まで行った。
途中話が切れないようにルシアに質問したりしながらなんとか道場についた。
道場につくと父さんが僕を待っていた。
「遅かったね、ベル。おっとそちらのお嬢さんがこの前話していたルシアちゃんかな。
はじめまして。僕はベルの父親のハルトです。息子共々よろしくね。」
「はじめまして。ルシアです。よろしくお願いします。」
「うん。で、ベル、これからどうするんだ。稽古をさぼって彼女を送っていくのかい。」
なんか父さんの目が怖い。
本当は送っていきたいけど、稽古をさぼるのは良くない。
「ごめんルシア。僕はこれから稽古があるからここでお別れだね。
母さんのとこはこの先の道をまっすぐ行ったらつくからね。」
「あの…私も稽古の様子を見て行ってもいい?」
ルシアは恐る恐るといった感じで聞いてきた。
僕は飛び跳ねそうなくらいうれしかった。
でも兄ちゃんにクールな方がもてると聞いていたので
「まぁ、見たいっていうならしかたないかな。」
といった。
なぜか父さんが笑っている。何かおかしなことを言ったかな。
そしてその日は午後の訓練が終わった後、ルシアと一緒に母さんの所へ行き
ルシアの適性を伝えて、魔法を今度は使い方も教わった。