出会い2
家へ帰っていると村の子供3人が1人の子をいじめていたのだ。
最初遊んでいるだけだと思ったので無視していこうとした。
『おいベル。あの子いじめられてるみたいだぞ。助けてやれ。』
優人兄ちゃんが話しかけてきた。
『ねぇ兄ちゃん。いじめってどういうこと?』
いじめの意味が分からなかったので尋ねた。
『いじめっていうのは強いやつが弱いやつに暴力をふるったりすることだ。』
『そんな悪いことをするなんて許せないね。わかった。僕があれをやめさせてくるよ。』
兄ちゃんに教えてもらって彼らが遊んでいるのではないと分かったのでいま目の前で行われているいじめを止めるためリーダーらしき子に話しかけた。
「ねぇねぇ、その子をいじめるのは良くないよ。そんなくだらないことやめなよ。」
「あぁ。お前誰だよ。チビが勇者ぶってんじゃねーよ。関係ねぇんだからは黙ってろ。」
リーダーらしき子は8歳くらいで僕よりも大きいため僕を見下しながら言った。
しかし他の2人のうちの一人が何かにきづいたようにそのリーダーの少年に内緒話を始めた。
「兄貴、こいつあの道場の師範の子供だぜ。前に兄ちゃんの稽古を見に行ったときにこいつもいたから間違いないよ。」
「なにっ。じゃあこいつもしかして俺たちより強い・・・。」
急にリーダーの少年は顔を真っ青にし始め、俺に向かって、
「まあ今日はこのくらいにしといてやるかな。」
と言って、他の2人を連れて走り去っていった。
『どんな俺たちのうわさが流れているのか今度調べてみるかな。』
『そうだね。あんまりいい噂じゃなさそうだけどね。』
僕と兄ちゃんは苦笑いしていた。
僕はいじめられていた子に手を貸し立たせてあげた。
その子はなんと女の子だった。緑色の髪をしていて、顔はとてもかわいかった。
そしてなんとその子は耳が長かった。
『エルフか。どうしてこんなところに。』
「大丈夫?どこか怪我してない?」
「大丈夫です。助けていただきありがとうございました。」
彼女はそう言って笑顔でお礼を言った。
僕はそれを見て顔が真っ赤になってしまった。
それからいろいろ聞こうと思うのだが恥ずかしさのあまり声が出なくなってしまった。
どうしようもなかったので優人兄ちゃんに代わってもらうように頼んだ。
『兄ちゃんごめん。ちょっと代わってほしいんだけど・・・』
『どうした、ベル。顔が真っ赤だぞ。・・・あー、なるほど。
お前あの子のことが好きなんだろ。いやー、若いっていいねー。』
『な、何言ってるの。そ、そそ、そんなわけないじゃん。あれだよ。彼女が怪我してるっぽいから兄ちゃんに直してもらおうと思っただけだよ。』
『さっき大丈夫って言ってなかったか?』
『いいから早く代わってよ!』
優人兄ちゃんが意地悪しているのだと分かったため少し怒りながら言った。
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優人目線
どうやらベルはこの子に恋したようだ。
まぁ、この結構かわいいから気持ちはわかるけどな。
ただこのネタでベルをいじるととても面白かった。
俺はベルと交代して、少女に話しかけた。
「俺の名前はベルっていうんだ。君の名前はなんていうの?」
「私はルシアっていうの。」
「君は耳が長いけどエルフなのかな?」
俺がそう言うとルシアは耳を隠すように帽子をかぶった。
「私、どうやら拾われたらしくて・・・。
両親は二人とも人間だけど私はエルフなの。やっぱり気持ち悪いよね。」
「いやそんなことないぞ。エルフか人間かなんて些細なことじゃないか。
ルシアは十分かわいいし、性格もよさそうだから全然気持ち悪いなんて思わないぞ。
むしろ将来は美人になりそうだな。」
俺はエルフに偏見なんかなかったため本心を言った。
ルシアはびっくりした顔になったが、少し顔を赤くしうつむいてしまった。
俺は彼女をよく観察した。すると、彼女は大丈夫と言っていたが全身すり傷だらけだった。
へー。ベルの奴なんだかんだ言いならしっかり見てるじゃないか。
「よしルシア。今から魔法をかけるから動くなよ。」
「えっ。」
『ヒーリング』
回復魔法をかけるとクレアの傷はきれいになくなった。
ふっ、自分の魔法の腕に惚れてしまいそうだぜ。
「そろそろ帰らないといけないな。おれはこの先にある丘に立ってる家にいるからもし暇だったら遊びに来てよ。朝かこの時間だったらいると思うから。」
そういってルシアと別れ家に帰った。
晩御飯の時、今日ルシアに会ったことを両親に話したら
ハルトは「ついにベルに彼女が・・・」
アリスは「私が認めないとだめですからね。」
リリーは「その子、妹役にうってつけね。それとも新しい服を着せたりするのも楽しそうね。」
レイナは「・・・・・・。私も認めないと結婚させません。」
とそれぞれ反応を示した。
てかリリ姉はいまだにあのおままごとをやってるのか。
ちなみにその日のベルは
『ルシアちゃん・・・・・。かわいかったなー・・・・』
とボーとしていて使い物にならなかった。
やっとヒロイン1だせた。