出会い1
俺たちは5歳になった。
俺は魔法に、ベルは剣術に力を入れていため、どちらもいい感じに上達していた。
やはり意識の世界で片方が違うことをしてもその経験値は得られるらしく、一人の体で2人分の練習ができたことは大きかった。俺が現実の世界で魔法の練習をしている間ベルは意識の中で筋トレやイメトレをしていた。もちろんその逆も同様である。
そのおかげで肉体はいい感じに力がつき、魔法は火・水・風・土・雷・氷・闇・光では王級までの魔法は使えるようになった。まぁ、俺の場合こっちの魔法とはイメージが違うのでその階級通りの魔法かどうかはわからないが。
そして5歳になってからたまに俺は意識を失うことがあった。しかし、1分程度なのでたぶん疲労かなんかだろう。
今日は剣術の日なのでベルが練習をしている。
なので俺は意識の中で魔法の練習だ。
『ファイヤーランス』
『エアショット』
『ウォータートルネード』
『ストーンエッジ』
ふぅ。 ちょっと休憩休憩。
『ツインサンダードラゴン』
『アイスエイジ』
『ソーラービーム』
『ブラインドアイ』
あー疲れた。
えっ。やりすぎだって。この中なら何しても影響ないからいいんだよ。
あと闇魔法は文献がなかったから大技が作れなかったな。
俺が魔法に集中しているとベルの方が騒がしくなった。
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ベル視点
僕は今日朝起きてから父さんと一緒に道場に行った。
さすがにパパって呼ぶのは恥ずかしくて4歳から父さんと呼んでいる。
道場につくとまず掃除する。
優人兄ちゃんは『掃除をすると体術も上達すると昔偉い人が言っていたな』と言っていた。
僕はそれを聞いてから掃除もまじめにこなした。
掃除が終わると、約一時間走り込みと筋トレを行う。
僕はこの1年で慣れたが他の人たちはきつそうでこっちをにらんでいた。
おかしいな?なんで僕がにらまれるのだろう?
この前優人兄ちゃんに聞いたら苦笑しながら、『たぶんベルがいるからだろう』と言っていた。どうして僕がいたらにらむのだろう。父さんなんて上機嫌で迎えてくれるのになぁ。
筋トレが終わったら次は型の稽古だ。
父さんの道場は1~10までの型があり反復練習で洗練させていく。
それが終わったら昼ご飯だ。レイナさんがいつもお弁当を用意してくれる。
これがまためちゃくちゃうまいのだ。特にこの絶妙な加減で焼かれた牛肉が特にうまい。
僕が昼飯を食べていると父さんが話しかけてきた。
「ベルもだいぶ強くなったね。どうだい、午後の対人訓練は僕とやるかい?」
「やった。もちろんやるよ。」
父さんとの稽古は滅多にないので僕は即答した。
昼休憩が終わると父さんと向かい合った。
しかし、弁当を食べてる時からなんか体が重く感じる。
たぶん優人兄ちゃんがまた無理な魔法を連発しているのだろう。
そんなこと言っても手加減してもらえるわけもなく僕は目の前にいる父さんに集中し始めた。
「うん。なかなか洗練された構えだね。ちゃんと毎日剣を振ってるのがわかるよ。
強くなったね。ベル。」
そう言いながら木刀を構える父さん。
審判のセバスさんが両方が構えたのを確認してから開始の旗をあげる。
僕は旗があがった瞬間、一気に間合いを詰めて顔めがけ突きを放つ。
しかし父さんは涼しい顔で僕の突きを払い、横腹めがけて木刀をふるう。
僕は払われた勢いを使い横腹の前で木刀を縦に構えるが、5歳児が力で勝てるはずもなくお互いの木刀がぶつかると僕はそのまま横に吹っ飛ばされた。
僕がそのまま壁にぶつかるとセバスさんは父さんの方に勝利の旗を挙げた。
僕は今日もあっさりと父さんに負けた。
なぜ型を使わないかというと、僕はまだ稽古で型の使用を禁じられているからである。
父さんにはまだまだ練習が必要だねと慰められた。
そこで今日の稽古は終わりだ。
優人兄ちゃんはまだ魔法の訓練に集中しているようなので母さんのとこにいった。
「あらベル。いらっしゃい。」
治療院に入ると母さんは僕を迎えてくれた。
僕はさっきの稽古で怪我していたので母さんに回復魔法をかけてもらう。
いつもは優人兄ちゃんにやってもらうのだが今忙しいので母さんにやってもらった。
その後、母さんと少し話をして愛用の木刀を取りに道場へ行き,家に帰った。