初めての魔法
俺が生まれてから3か月がたった。
この三か月で多くのことを家族の会話から学んでいた。
まず自分の名前はベルといい母親はアリス、父親はハルトということがわかった。
また生まれた日にはいなかった自分の姉にあった。名前はリリーといい髪は母親の色と同じ金髪でまだ三歳でとてもかわいい。俺がロリコンでなくてよかったと初めて見たとき思ったほどだ。
また、時間は一日24時間で30日で一月分と考え、12か月で一年と日本の時と同じだったので楽に適応できた。
そして一番驚いたことは、最近冬に近づいてきたようで部屋が寒くなってきた時、メイドのレイナさんが俺の部屋に来て何かつぶやいたかと思うと暖炉に火をつけたのだ。
もちろん俺はラノベの知識があるからすぐにこれが魔法だと理解した。
そこから俺はレイナさんが魔法を使うときはずっとその様子を目に力を入れながら観察していた。すると、ある日を境に急にレイナさんの手に赤い光が見えた。状況から考えられるのはおそらく魔力が見えるようになったんだろう。
さらに一年がすぎると、俺は普通にしゃべれるようになっていたす、ハイハイもできるようになっていた。
しかし、一年で急にしゃべりだしたら気持ち悪がられるため人前では全然しゃべらずたまに赤ちゃん言葉を使っている。
この前、両親の前で「パパ」、「ママ」と言ってみたら涙を流して喜んでいた。
それから姉には毎日、
「私の名前はリリーよ。ほら、ベル。リリ姉って言って。」
と催促されるが、俺が何も言わなくなると涙目になってふててしまう。
俺はそれがかわいくて毎回意地悪でリリ姉に向かってパパやママと言ったりしてリリ姉をからかって遊んでいる。まぁ、いつかは呼んであげようとは思うけどね。
昼は我が家には基本的にメイドと自分の二人しかいないことがこの一年で分かった。
ハルトは剣道場の師範をしているらしく基本夜になるまで家にいない。
アリスは何をしているかわからないがこちらも夜まで家にはいない。
リリ姉はレイナさんに弁当を作ってもらい、友達の女の子の家で遊んでいるらしい。
なのでいつも家では俺とレイナさんの二人しかいなく、レイナさんも家事があるため定期的に俺を見に来る以外、基本的に俺は放置されている。そのため、最近の日課はハイハイでレイナさんのいないとこに隠れていき、レイナさんが来るまでにはベッドに戻るということを数回繰り返すことであった。
そんなことをしていると俺は書斎らしき部屋を見つけた。
入ってみると机や何やら器具が置いてあるが本は3冊しかなかった。
『初めての魔法』
『言葉を子供に教えるいい方法』
『ハイラント公国の歴史』 の三つだ。
どうやらここはハルトの部屋らしい。
それから俺はレイナの目を盗むとその書籍に行き本を読むようになった。
ありがたかったことは『言葉を子供に教えるいい方法』という本には魔法がかかっていてその本の言葉に触ると頭の中で何と書いてあるかが教えてもらえるような仕様になっていた。
たぶんだがこれはかなり高級な本に違いないと思う。
そのおかげで俺はわずか7日にして文字が読めるようになっていた。
次に念願の『初めての魔法』に手を付けた。
そしてその本を読み切って得た知識は次のようなことだ。
・魔法は基本的にイメージにより威力が決まる。
・魔力量は生まれつき決まっている。(例外もあるらしい)
・魔法量は子供の時の使用によって多少影響が生じる。
・魔力を感じるのは周りの空気を感じるように意識すれば感じるようになる。
・魔法には属性があり基本は火・水・風・土でありたまに光・闇・雷・氷など特別な属性を扱う人がいる。
それから俺はベッドで魔法の練習を始めた。
よし。とりあえず魔力を感知するところからやっていくかな。
えーと確か、空気を感じるように神経を集中させてっと・・・・・。
おっ!これが魔力かな。
俺はあっさりと魔力を感知できたようだ。
で、これを魔法に変換させるようにイメージっと・・・・。
家の中だし風をイメージしてみようかな。
頭の中で家の中に風が入ってくるようなイメージをしてみた。
するとほんの少しだが風が通ったように感じた。
おおー。これが魔法か。やばい俺魔法使いになってしまった。
まだ三十歳になってないけどいいよね。どういう意味かは聞くんじゃねーよ。
にしてもテンション上がる~。もっと他にもできないかやってみよ。
そう思い次は水の玉をイメージする。
『ウォーターボール』
ラノベを思い出しながら言ってみる。
すると手の先に水の固まりができていた。
何か螺○丸みたいだな。
あれ?これってどうやって飛ばしたりするんだろ?
そうか。飛ばすイメージをしてなかったな。
よし今度は水の球を飛ばすイメージでって・・・あっ!
俺がウォーターボールの飛ばし方を考えているときに水の球はベッドに落ちてしまい、ベッドがびしょ濡れになってしまった。
そして俺は魔力切れのせいか気を失ってしまった。
その日の家族の会話は俺がおねしょをしたことで持ち切りだった。
俺はばっちり聞こえているため顔を赤くしないようにこらえながら恥ずかしさに耐えるのみだった。