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昼下がりの授業中
あたしの名前は北島一花。ファンの人からは『いっちゃん』とか『いちか』、メンバーからは『おいち』なんて呼ばれてる。17歳。アイドル。一応ね。
ヒラヒラふわふわの衣装を着てキラキラの笑顔でダンスを躍るアイドルに憧れたのは中学の頃。成績に見合った高校を危なげもなく受験、入学後、友達に流されるままに入部したのは美術部。共学だし、それなりに毎日が目まぐるしく過ぎていくんだけど何だか物足りない、日々に張り合いがない。そんな日常の中で何年か前に一瞬だけ抱いた夢をふと思い出したのは偶然かもしれないし、ちょっとだけかっこつけて言えば必然だったのかも知れない。
誰かを笑顔にしてあげたくて!とか、華やかな世界に憧れて!とか、後付けの動機はいくらでもあるけど、なんてことはない、単純に楽しそうだってことと、クラスの子たちよりちょっとだけ特別を味わえたら楽しいかなーなんて。ほんとにそんな理由だけ。
ガッカリした?けど巷に蔓延るアイドルと呼ばれる人たちだってきっとそんなもんだと思うよ。