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新キャラ登場

 結局、姫子だけではなく、お目付け役というか暴走を抑えるために桜も慧達のクラスに移る事に決まった。

 担任が、じゃあ上に話しておくよ、とあっさり言って、慧が涙ながらにそれだけは止めて下さいと担任にお願いしていたのだが、


「すまない。私も雇われ人として心苦しいが、こう、生贄を差し出さないとどうなるか分らないんだ。不景気だし、再就職の関係もあるし」

「う、ぐ……というか、生贄ってなんですか! 生贄って!」

「じゃあ、お嬢……姫子君の玩具」

「僕、玩具なんですか? 弄ばれているだけなんですか?」

 

 泣きたくなりながら呟く慧に、姫子が後ろから慧に抱きついて、耳元で、


「あら、それは慧が私の事を恋人だって認めてくれたって事かしら?」

「違いますうぅ、というか僕はハーレムが良い! こんな一人に追い掛け回されるなんて沢山だ!」

「……一人に追い掛け回されるのが嫌だから、ハーレムが良いの?」

「はい!」

「……分ったわ、土魔法の使える人達に頼んで私の人形沢山作って、慧の周りに配備してハーレム気分を……」

「やめてええええ」


 周り一杯に姫子がいるとか更にトラウマが加速しそうな出来事はお断りだった。

 そんな慧に姫子はにっこりと微笑み、


「そう、やっぱり人形の私よりも生きて動いている私が好きなのね?」

「え? いや、え?」

「慧のそういう所大好きよ!」

「うぎゅぬる!」


 何故かそう肯定的に解釈されて、そして大好きといわれてぎゅうぎゅう抱きつかれて慧は変な声を上げる。

 確かに姫子は怖いけれどこうやって純粋に好意を示されて抱きつかれたら、悪い気はしない……むしろ好感度が高くなってくる。

 だが駄目だ、(ほだ)されるな、絆されるな、そう繰り返していた所で姫子が慧に、


「じゃあ明日から隣の席ね。よろしくね、慧」


 その晴れやかな笑顔の姫子とは対照的に、慧の顔は真っ青になったのだった。






 そして夕暮れの帰り道を和臣と意気消沈した慧がとぼとぼと歩いていた。


「僕が一体何をしたって言うんですかー、うう、何とかならないかな、見かけは美少女なのに」

「そのうちきっと良い事があるさ。所で、あの黒い布を被った連中だが」


 和臣に話を振られて、慧は大きく嘆息する。


「言われなくても分っているよ。多分、奴らだろうなって」

「奴ら、あの世界でも異世界から来ていたんだよな」

「広く散らばっているらしいから、何処にいても不思議もないし、変わった知識や技術を持っていてもおかしくない」

「……もっとも、僕達がこの世界の今あること全てを知っているわけじゃない。例えばあの魔法と科学のハイブリット車も、魔力を電気エネルギーに変えているだけだし、まだ魔力を持ち運び出来る魔力電池の容量がああいった小さいものしか出来ない、という程度しか分らないからな」

「……俺はそれすらも知らなかったけれど、相変わらず和臣は博識だな」

「面白い事は好きなんだ」

「それには同感だな、と。あれ、女の子がいる」


 夕暮れの電柱にもたれかかるように一人の少女がいる。長い黒髪を一つに縛った、姫子ほどではないが可愛い女の子だった。

 夕暮れ時に人の姿が霞むように見えてしまうのは良くある事だが、それを含めても確かに可愛いのだが存在感のない少女だった。

 着ている制服から、慧達と同じ海山学園の

 そこでその子が慧の方を振り向き微笑みかけてくる。

 その彼女に既視感を覚えて、慧は心の中で警戒を覚える。と、


「はじめまして、今日、転校してきた山崎環(やまざき たまき)です」

「あ、そうなんですか。それで、何で僕に声をかけたのでしょうか」

「お昼に職員室で綺麗な女の子が、『慧と何で一緒と一緒じゃないのよ!』って叫んでいたからどんな子かなって探していて……一目惚れしちゃったから、ライバルがいない時に宣言したほうが良いと思って」

「は、はあ」

「さすがモテモテな慧君は、私程度に口説かれただけじゃ簡単に落ちないか。でもこれからが勝負だよね! また明日!」


 そういう事だけ言って、走り去る彼女、環。

 それを見送る慧に、和臣が、


「なるほど、これが慧のモテる時期か。このままハーレムを目指せそうだな」

「……あの子よりも姫子の方が良いや」

「慧は面食いか、なるほど。でも綺麗な子は僕も好きだ」

「……和臣、わざとか?」

「わざとだが何か?」

「なら良いんだけれどさ……でもこっちではハーレムが良い。姫子怖い」


 最後に姫子が怖いと慧は付け加えて、そのまま適当な雑談をして和臣と別れたのだった。






 さて次の日登校すると、慧の左隣の席とその隣、さらにはその前の席が空いていた。

 というかこんな席なかったのだが、何時の間にか出来ていた。

 誰が来るんですかと分りきった不安をごくりと飲み込んで慧は、右隣に座っている和臣に、泣き言を言った。


「僕が一体何をしたっていうんですか」

「諦めろ。現実は不条理なものだ」

「最悪だ……」

「おっはよー、慧、今日からずっと授業中の慧もすぐ傍で嘗め回すように見る事ができるのね!」


 突如現れた姫子に、慧は抱きつかれた。顔に服越しにむにゅっと何か柔らかい物が当ったがそんなものに騙されないぞと慧は煩悩を必死で消し去ろうとして……駄目だった。


「もうやめて……胸が顔に当っています」

「え! あ、ごめんなさい、慧がそばにいると思ってはしゃいでしまったわ」


 茹蛸のように顔を赤くした慧に、謝る姫子。

 だがこんな初心な様子も、可愛いわ、慧、と姫子は心の中で思った。

 そこではっとして慧は周りを見回す。こんな美味しい思い……いや、全然慧が自分からどうこうしたわけではないから、不可抗力なのだが、それでもこう羨ましがる輩がいるのである。

 けれどここで周りの様子がおかしい事に気づいた。やけに大人しい。と、


「苛立っていたからリラックスさせるようにしておいたよ」

 

 姫子といつも一緒にいる、姫子と対照的に穏やかそうな――名前は確か月森桜だったか、彼女が答える。

 けれどその意味の分らない慧に姫子は付け加える。


「桜は、フェロモンの魔法を持っていて、人や動物、はては魔獣の感情も操ることが出来るの」

「そ、そうなんですか、ありがとうございます」


 ぺこりとお辞儀をしてお礼を言うと、桜は良いよ、そんな気にしなくてもー、と言っていた。

 そこで教室に担任が入ってきて、そして一人の少女が連れてこられる。

 それは昨日慧が学校の帰り道に会った少女だった。


「はじめまして、山崎環やまざきたまきと申します。そして、慧君に一目惚れしました!」


 その宣言に、昨日のあれは冗談じゃなかったのかと慧は思うと同時に、傍の姫子をおそるおそる見上げると、姫子は笑っていた。

 けれど瞳は冷たく睨みつけるように環を見ており、


「……この私の前で宣戦布告なんて、良い度胸ね」


 可笑しそうに、けれど怒ったように呟いたのだった。 

 

 設定を色々書き加えつつネタを仕込んで、でも気持ち表現の()がどうも上手く使えない……くおお。

 実はハーレム云々言っていますが、ハーレム物のラノベも好きで読んでいたりします(・ω・|l|)。面白いものは面白いですからね……。

ただ、今回はネタとして使っているのと、自分で考えるとなんだか冷静になってしまう……何ででしょう(´・ω・`)。カップルがいちゃいちゃしているのが好きだからなんですかね……。

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