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権力かコネ

 外では姫子が別の先生に事情を聞かれており、慧達は生徒指導室で先生に事情を聞かれていた。

 刑事者の取調室のようなその場所で、色々と事情を聞かれた慧と和臣だが、


「いえ、ですから本当に心当たりは何にも無いんです」

「本当か? 思い当たる節は……」

「だから何も無いです!」


 無茶言うなと思いつつ担任である、まだ三十代なのに古だぬきとか腹黒といわれている星野浩二に言い返す慧。

 そもそもこれは授業だったはずで、それが、ああもおかしくなって。

 そこで和臣が無言で手を上げた。


「一つよろしいですか?」

「あ、ああ、何だ?」

「電気系統のトラブルではなかったのですか? 突然ドアが開かなくなりましたし」

「まあそうなんだが、強制的に予備電源に繋がれた挙句、色々細工をされていて制御システムがおかしなことになっていてね」

「それはこちらのミスではなく学校側のミス、ですよね?」

「そうなんだが、まるで狙いを定めるかのように君達を追い掛け回しているのと、不審な人物が監視カメラに映っていてね」


 疑うべきはそっちだろうと突っ込みを入れたい衝動に、慧と和臣はなるも、


「……君達二人の特殊な属性は、今まで知られている範囲では例が無いからね。それが何か関係しているのかもしれない」


 和臣と慧は顔を見合わせる。

 確かにそういった変わった属性を持っていることは事実だ。だが、


「そういえば特殊な力をあの魔獣は好むんでしたね。しかも喰らうと強くなる……」

「でもこの学校に居る人間の25%は特殊能力がある奴らばかりだから、どうしてそちらを狙わなかったのかという事だ。そっちの姫子君は、普通に閉じ込められただけだし」


 実際にこの学園内の学生は特に魔力が強い者達が集められており、そういったものたちは主要の属性以外に特殊な属性を持っていたりする。

 なので、逆に言えば、その中で何故あえて慧達を選んだのか。

 という疑問に関して慧はふと思いついたので、


「……あの時間、二人一組で戦う場所は何時から決まっていたんですか?」

「割り振りかね? 実は本当は四人一組だったんだが、そこの姫子君が君と組みたいと言い出してね。これで彼女の成績が落ちると私の給料に響くから、泣く泣く二人一組にしたのだよ」


 なんだか嫌な話を聞いてしまった慧は、今の話を総合して、ある事に気づいてしまった。

 そうなってくるのあの恐ろしい彼女は、


「あの、姫子はそんなに権力かコネのある人なのでしょうか」


 そんな慧の問いかけに、先生はにっこりと微笑む。

 そして人形のように口をかくかく言わせながら、


「……イエイエ、ソンナコトハアリマセン。まあこの話はおいておいて、そんなに君は四人一組が良かったかね? 姫子君と組みたいと?」

「ありがとうございます先生、貴方は俺の恩人です」

「とはいえ、君達がいた場所で姫子君たち四人が決まっていたのだけれどね」

「それって、姫子が狙われたわけではなく?」


 その慧の問いかけに、ごふっと担任が噴出してお腹を抱えて笑い出した。


「あはははは、流石にそれは無いなー」

「どうしてそんな事を言えるんですか」

「……返り討ちにあうのが分っている相手には、人間は手を出さないものだよ」

「そんなに凄いんですか? 姫子は」


 先生が再び黙った。言いたく無いらしい。それとも言えないのかどうかは分らないが。

 なので姫子の話題をすると話が進まないので、さてどうしようと思っていると和臣が、


「つまり、僕達は手を出しても大丈夫そうだと思われる程度に弱そうだったと?」

「そうだね。そして、ああ、二人一組に変更したのはお昼休みすぐだから、それを考えると昼休み……あの時間だとやはり君達を狙ったとしか思えないな。思い当たる節はあるかね?」


 どうしてかさっぱり分らない、といった風に和臣は首をかしげる。

 慧も含めて和臣も、ごく普通の一般的中学生のはず。

 そこで部屋のドアが開かれた。


「お昼休みに変な集団が何かをやっているのを私は見たわ! この世界の服装にしてはおかしな連中よ!」

「確かに防犯カメラに映っていましたね」

「何でその時捕まえておかないのよ」

「いえ、忽然と姿を消しましてね、彼ら」


 それを聞いた姫子が目を細めてから、


「あっちは簡単に人間もこちらへと行き来できるって事?」

「その可能性も含めて色々と聞いているのです。ターゲットとなった理由から、彼らの能力や意図を、ということです。お嬢様」

「……給料」

「姫子君の言うとおりなのです。なので、慧と和臣君には暫く監視をつけようと思うという事になっています。もちろんプライベートには配慮しながら外ではするので君たちは安心していい。後は、校内での監視だが監視カメラが……」

「それじゃあ足りないわ!」


 そこで姫子がばんと机を叩いて、にやぁと笑った。

 慧は、嫌な予感しかせず、それはすぐに当る事となる。


「私が慧のそばで、ボディーガードをするわ!」

「いやぁあああああ、止めて、止めて下さい! お願いします、それだけは……」


 嘆くように縋り付いて慧が言うと、先生はちらりと姫子のほうを見ながら、


「学業に支障をきたさない範囲で」

「さっすが、話が分るわね! というわけで、よろしくね、慧」


 先ほどまで深刻な話をしていたはずなのに、慧は姫子の事で頭が一杯になっていた。

 心の余裕が何かを考えるには一番必要だと慧は悟り、灰になりそうになっていると、そこで和臣が、


「これは、悪の組織の陰謀に僕達は巻き込まれていると? 平和を脅かす悪と戦えと!」

「……えっと和臣君。あー」


 珍しく困惑したような担任に、和臣は目を輝かせながら更に続ける。


「それが僕達の力に与えられた使命だと、そういう事ですね!」

「…………そうか、君ってそういう性格だったのか、ふむふむ。それで、慧君諌めてくれないか」


 あっさりと生徒の性格を読み取って的確に仕事を投げられた慧は、いつもの事だと諦めながら、


「和臣、僕達は巻き込まれたその他であって主人公では無いんだ」

「……だが、主人公の可能性は低くともあるのでは?」

「ない」


 そういう事にしておこうと、目配せすると意味が分ったらしい和臣が、しょぼんとしたふりをして頷いたのだった。

 これでどうにかなったなと、そのままの意味でも、別の意味でも慧が安心していると、慧は姫子に再び抱きつかれた。


「これからは同じクラスだね、ふふ、もう逃さなくってよ?」


 姫子が笑って、黒い髪がさらりとなびく。

 一瞬美人なんだよなと慧は思ってしまうが、今までの出来事が思い出されて、ぽきっと甘い感情が折れた。

 そして、せっかく忘れられていたのにと、慧は姫子の声を聞きながら明日からの出来事に対して思いをはせて、切なげに心の中で泣いたのだった。

設定の煮詰めがまだ出来ない、修正が追いつかない、でもこのまま放置するとエタりそうなのでとりあえず一話ですorz。

しかも別に書きたいものも一杯出てくるというような状況。なので今週はこれ一話しか更新できないかもです。すみません。

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