リモートコントロールマン
ご覧いただきありがとうございます。遥奏汰です。
新作の現代詩『リモートコントロールマン』をお届けします。
画面の向こうとこちら側、操る者と操られる者の境目で揺れる葛藤を描きました。
ぜひ最後までお楽しみいただければ幸いです。
リモートコントロールマン
画面の青い光に照らされた指先が
見えない糸で世界を動かす
ボタンひとつで誰かの笑顔を作り
画面を閉じて、己の虚無に気づく
僕を操るリモコンの電池は
いつから切れていたのだろう
暗闇の中に取り残された指先は
行き場を失って空を掻く
画面の向こうで咲いた笑顔も
冷めたガラスの表層を滑り落ちていく
操っていたはずの糸を辿れば
その先は自分の首に繋がっていて
誰もいない静寂の部屋で
動かなくなった胸の奥を
静かに見つめ続けている
でも、胸の奧で微かに脈打つその違和感こそが、まだ僕が壊れきっていない証拠だった。
指先を強く握りしめると、爪が掌に喰い込む鋭い痛みが走り、自分が生きている現実の感覚を連れ戻す。
見えない糸に縛られて踊らされる人形のまま終わるつもりはない。
僕は暗闇の中で小さく息を吐き出すと、液晶の青い光を遮るように静かに画面を伏せ、自分の足で一歩前へ踏み出した。
液晶の裏側に残された冷たい残像を振り払うように、僕は静かに深呼吸をした。
足元を照らすものは何もないけれど、掌に残る確かな痛みが、暗闇を突き進むための地図になる。
絡みついていた見えない糸を一つずつ手繰り寄せ、己の意志で強く引きちぎった瞬間、塞がれていた視界の向こうに、小さな夜明けの光が差し込み始めた。
もう誰かに操られる人形でいるのは終わりだ。
僕はついに自分自身の心臓の鼓動を取り戻し、まだ見ぬ明日へとしっかり踏み出したのだった。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
「画面の向こうを操っているつもりが、実は自分が何かに操られていたのではないか」という漠然とした恐怖と、そこから己の意思で一歩を踏み出す痛切な覚悟を描いた作品です。掌に残る爪の痛みが現実を教えてくれるように、自分自身の心臓の鼓動を取り戻す瞬間を感じていただけたら幸いです。
もし少しでも心に響くものがありましたら、評価やブックマーク、感想などで応援していただけると執筆の大きな励みになります。また次の作品でお会いできるのを楽しみにしています!




