表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

エピローグ






「ローゼリア・フォン・グランツ!

このリシャード・ヴァルモントの名のもとに

貴様との婚約を破棄する!!!」









頭が真っ白になった。



どうして、こんなことに?









王立学園の卒業記念パーティー。ここヴァルモント王国の一大イベント。




わたくしと殿下は今日ここで、この国の未来を背負う誓いをたてる、はずだったのに。






「我が最愛のマリーナへの数々の非道な行為、もはや王太子として見過ごせん!」






なにもしてない、知らないわ







「で、ですが殿下____」



「黙れ!証拠ならそろっているぞ!そしてその薄汚れた口で殿下など、口にするな!!」






「未来の王太子妃への非礼な行いは許されることではない。よって王家の名において、貴様を国外追放とする!!」





「そんなっ、わたくしはっ、!!」






異議を唱える者は、誰一人としていない。





やっぱり、駄目だったのね。







「"黒薔薇"を王妃にしようなど、はなから誤りだったのだ」






黒薔薇______







「王妃にはマリーナが、百合のような彼女が相応しい」








もう、無理ね






「……承知、いたしました」



どうにか声を絞り出す。

反論をしたところで、どうせ聞き入れてはもらえない。




目の前の愛しい人は、違う女性の肩を抱いている。ふわりとした金髪に、同じ色のぱっちりとした瞳のマリーナ。悔しいけれど、同じ金髪のリシャード様とお似合いだわ。そうね、黒薔薇のわたくしなんて、殿下に相応しくなかったんだわ。





「マリーナ、これでやっと君と一緒になれる…!」


「リシャード様…!」


「さぁ、今からでも国王陛下の元へ行こう!ここにいる全ての者が証人だ。きっと認めてくださるはず_____」





「その必要はございません」





凛とした美しい声が会場に響き渡った。


黒くて丈の長いコートを羽織った"彼女"はフードを外し、堂々と会場の真ん中へ躍り出る。


その人物の登場に、誰も驚きを隠せない。





「私、シャルロット・エル・アルキオンが認めて差し上げますわ」




会場がざわめく。




「シャルロット王女殿下!まさか貴方様がいらっしゃっていたとは…!」




シャルロット・エル・アルキオン____

二つ名は、"白薔薇"




隣国の大国、アルキオン帝国の第一王女殿下。

美しい白銀の長い髪に、透き通った空色の瞳。

そして誰もがたじろぐ美貌。おまけにスタイルも抜群。



長い黒髪に赤い瞳、おまけにつり目の私とは、似ても似つかない。




でもどうしてこんなところに……?



「貴方様が認めてくだされば、陛下はきっと納得してくださるはずだ!」



「"白薔薇"の王女様が私たちの味方なんて…マリーナとっても嬉しいです!」




マリーナがこちらを見る。"黒薔薇"のあなたとは大違いね_____そう言っているみたいな顔をして。

そんなの、わたくしが一番分かっているわ。



「ええ!"未来の国王陛下と王妃殿下"の幸せを、心より願っておりますわ」



王女殿下は2人に笑いかけた。その微笑みはまさに薔薇のような美しさ。会場中の視線が彼女に集まる。




ここにいるだけで自分がどんどん惨めになっていく。

国外追放__それで良かったのだわ。今頃お父様はわたくしに失望して、勘当の準備でもされているころね。早く帰って、国を出る支度をしましょう。この国にはもう、いえ最初から、わたくしに居場所なんてなかったのだから。




そう思い俯いた顔を上げる。するとちょうど、王女殿下がこちらをみた。空色と目が合う。

美しい笑みをこちらに向けたまま、近付いてくる。そして目の前で立ち止まった。





「あなたがローゼリア・フォン・グランツ公爵令嬢ね。お噂はかねがね…」



噂…?一体どんな__



リシャード様が嘲りの笑みを向ける。

そう、わたくしの悪行とやらの噂なのね。




「国外追放なんて、お気の毒」




笑みを崩さず、王女殿下は続ける。

まだ辱めを受けねばならないのかしら。しかも相手は格上。言い返すことも、勝手にこの場を去ることすらできない。





「ねぇ、貴方」





もういいわ。ここまできたらなんとでも仰ってくださいまし。怖いものなんてなにもないわ。黒薔薇でも魔女でも嫉妬に狂った醜女でもなんでも____














アルキオン帝国(うち)に来ない?」









「へっ?」









会場が静まり返る。全員が狐につままれたような顔をしている。




今、なんと____






「お、王女殿下!?その者は大罪を犯して____」



すかさずリシャード様が叫ぶ。




「えぇ、それで国外追放なのでしょう?"王家の名のもとに"。もうこの国の民でないのでしたら構わないではありませんか」




王女殿下はその美しい笑みを決して崩さない。



全員が唖然としていて声も出せないなか、王女殿下はわたくしの手を取り、言い放った。




「では、彼女はもらっていきますから」





王女殿下は最後に特大の笑顔をリシャード様に向け、わたくしの手を引っ張って出口へと歩き出した。






なにがなんだか分からず、王女殿下を見る。

戸惑っているわたくしに、殿下は再び笑いかける。

さきほどまでの上品な美しいものではなく、無邪気で可愛らしい笑顔。





「私ね、この時をずっと待っていたの!」




この時の天使のような笑顔を、わたくしはきっと、一生忘れない______



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ