第7話:聖域の庭園整備――プルと愉快な「機能的」魔たち
第7話:聖域の庭園整備――プルと愉快な「機能的」魔たち
魔力の制御を覚えたシルスが次に取り掛かったのは、1kmのドームを「究極の庭園」へと改造することだった。
傍らには、すっかりシルスに懐いたサファイア色のスライム、プルがプルプルと震えている。
「さて、プル。このドームをもっと住みやすくしよう。今のままでも綺麗だけど、ちょっと野生が強すぎるからな」
シルスは固有スキル**【聖域の主】**を発動させた。
ドーム内の地形が、シルスの意志に従って緩やかに変形していく。
まずは邸宅のすぐそばに、地球の日本庭園を彷彿とさせる「縁側」と、そこから眺められる透き通った「錦鯉の池」を作った。もちろん、池の中に放つのは異世界の美しい魔魚たちだ。
「ぷるるっ!」
プルが弾んで、池の周りの雑草をパクパクと食べ始めた。
「おっ、プル、お前掃除してくれるのか? 助かるよ」
そこでシルスは閃いた。**【絶対守護者の友愛】**を使い、ドーム内に自然発生している魔物たちに「役割」を与えれば、完璧な自動化楽園ができるのではないか。
シルスは森へと足を踏み入れ、次々と新たな仲間を見つけていった。
* 「クリーン・スライム」たち:
プルの配下として、屋敷の掃除やドーム内のゴミ拾いを担当。シルスの魔力を浴びて「自動洗浄」機能を獲得した。
* 「クーラー・フロストバード」:
常に冷気を纏う小鳥。暑い日にはシルスの肩に乗り、天然のエアコンとして活躍する。
* 「ファーマー・ゴブリン」:
神様にわがままを言って用意してもらった「地球の野菜の種」を育てる、温厚な農業担当。
「よしよし、みんな。ここで暮らす条件は一つだけだ。俺が昼寝している間、静かに、そして快適な環境を維持すること。分かったな?」
魔物たちは一斉に、敬意と親愛を込めて鳴き声を上げた。
夕暮れ時。
シルスは新しく作った縁側に腰掛け、ミーナが淹れてくれた(そしてプルが適温に冷やした)お茶を啜っていた。
目の前には、自分好みに配置された四季折々の花々。遠くには、アリステアが「景観のために」と魔法で形を整えた美しい雪山。
「……最高だな。盆山茂として生きた49年間の苦労が、全部ここで報われてる気がするよ」
「ご主人様、またおじいちゃんみたいなこと言ってる。ほら、夕飯はアリステアが『地球の知識』で再現した『懐石料理』だって。早く中に入って」
ミーナが少しだけ照れくさそうに、シルスの背中を押す。
1kmのドーム。それは狭い檻ではなく、一人の男のこだわりが詰まった、無限に広がる宇宙だった。
シルスは満足感に包まれながら、明日もまた「何もしないこと」を全力でするために、愛する家族(従者と魔物たち)と共に屋敷へと戻っていった。




