第47話:新旧社畜の対話――「盆ちゃん」と「健斗」
第47話:新旧社畜の対話――「盆ちゃん」と「健斗」
「……えっと、あ、初めまして……佐藤健斗です。24歳、元広告代理店勤務……です」
健斗は、目の前の「神」のあまりにも脱力したオーラに戸惑っていた。
「お、サトウ君か。同郷だね。広告代理店? うわぁ、激務だ。大変だったろう」
シルスは、まるで近所のコンビニで知り合いに会ったかのような気軽さで健斗の肩を叩いた。
「……はい。でも、ここで三千年後のアリステアさんたちに『更生』させられて……。今は、働くのが怖いです」
「ハハハ! それが正解だよ。いいかい、サトウ君。この世界はね、俺たちが必死に働かなくても、この優秀すぎる連中が勝手に回してくれるんだ」
シルスは、プルが映し出す「現在の世界情勢」を眺めた。
スライムが中央銀行を管理し、タライが平和を守り、人々がマナ・ネットで動画を見て笑っている。
「……やりすぎだよ、お前ら。でも、まぁ、悪くない。……サトウ君、君も今日から俺の『同居人』だ。仕事は禁止。タスクは全廃棄。ここでは『何もしないこと』が唯一の義務だ」
49歳の先達にそう言われ、健斗の心に憑りついていた「焦燥感」という名の呪いが、スッと消えていくのが分かった。
二人の日本人は、三千年の時を超えて、異世界の中心で「究極のニート同盟」を結んだのである。




