第42話:神の遺産(オーバーテクノロジー)――タライの再臨と新時代の終焉
第42話:神の遺産――タライの再臨と新時代の終焉
その時、聖域の平穏を揺るがす「警報」が鳴り響いた。
ドームの周囲に、現世の最強国家**【ネオ・マジック帝国】**の空中要塞が数千隻、集結していた。彼らは失われた「神の知恵(地球知)」を奪取すべく、三千年の研究を経て開発した「因果律破壊砲」をドームへ向けたのだ。
「全軍、発射! 怠惰なる旧神を破壊し、我らが効率主義の夜明けを――!」
巨大な光の束がドームを直撃しようとした瞬間、ドームの屋根から**「巨大なアナログの砂時計」が飛び出した。
管理コンソールの緊急プログラム名:【時をかける盆ちゃん(残業代ゼロ)】**。
光の束は、ドームの結界に触れた瞬間に「時給0円の虚無」へと変換され、霧散した。
さらに、健斗はアリステアに促され、シルスが三千年前に愛用していた「管理コンソールの赤いボタン」を、混乱の中で押してしまった。
『システム:古典的制裁(物理)を全方位に展開』
空から、三千年前と変わらぬ、いや、三千年の熟成を経て硬度を増した**「黄金のタライ」**が、空中要塞の数だけ降り注いだ。
『カカカカーーーーーン!!!!!』
最新鋭の空中要塞は、一撃で「物理的なツッコミ」を受け、墜落。
兵士たちはあまりに理不尽なギャグ攻撃に戦意を喪失し、「……なんだか、戦うのが馬鹿らしくなってきたな。帰って寝ようぜ」と、帝国全軍が自主的に解散していった。
「……これが、シルス様の残した『脱力系防衛網』の威力です。健斗様、お分かりですか? 怒りも、効率も、ここではすべて『無意味』なのです」
アリステアの隣で、健斗は呆然と空を見上げた。
宇宙のどこかで眠る「盆ちゃん」が、寝返りを打ったような気がした。
健斗はもう、新宿の喧騒に戻りたいとは思わなかった。
彼は、この「神に愛された引きこもり」の庭で、二代目の社畜として、ゆっくりと目蓋を閉じるのであった。




