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第38話:ミレニアム・スリープ――神話となった「スライム官僚社会」
第38話:ミレニアム・スリープ――神話となった「スライム官僚社会」
――それから、三千年の時が流れた。
外界の文明は興亡を繰り返し、かつての魔法技術は失われ、あるいはスライムたちが管理する「マナ・ネット」の極致へと進化した。
今や世界は、**【聖域教団】**が発行する電子通貨と、スライムたちが提供する「行政代行サービス」によって、皮肉なほど平和に統治されていた。
「古の記録によれば、主神シルス様は、あまりの慈愛ゆえに『働くという苦痛』をこの世から消し去ろうとしたという……」
人々は、空に浮かぶ「決して開かないドーム」を、**【安息の揺り籠】**と呼び、拝んでいた。
ドーム内部では、アリステアとミーナが魔力体として永遠の若さを保ち、スライムたちはもはや個体という概念を超え、ドームの壁、床、空気そのものとなって「主様の眠り」を護り続けていた。
その完璧な静寂を破る「イレギュラー」が現れるまでは。




