第33話:シルス、就職活動?――ブラック商店を白く染め上げろ
第33話:シルス、就職活動?――ブラック商店を白く染め上げろ
あまりにも全てが自動化され、支配者として完成されてしまった日々。
「……アリステア。俺、このままだと魂が腐る気がする。ちょっと社会勉強に行ってくる」
シルスは変装魔法で「冴えない中年男」になりきり、ドームの門前町にある悪名高い**【黒鴉商会】**の求人を叩いた。
そこは、薄暗い倉庫で若者たちが不眠不休で働く、絵に描いたようなブラック商店だった。
「おい、新入りのシルス! この1万箱の荷物を今日中に整理しろ! できないなら晩飯抜きだ!」
怒鳴り散らす店主の前に、シルスは静かに立った。49歳の彼は、この手のパワハラには慣れすぎている。
「承知いたしました。……ただ、少しだけ『効率化』してもよろしいですか?」
シルスが指を鳴らすと、無限倉庫から「自動ラベリング機(スライム式)」が召喚され、倉庫内の温度は「聖域のエアコン機能」で完璧な24°Cに。さらに、店主が怒鳴ろうとするたびに、シルスの神のオーラが無意識に発動し、店主は「あれ、俺なんで怒ってたんだっけ? ……ま、いいか、定時で帰ろう」と、強制的に仏のような心境にさせられていく。
わずか三日で、黒鴉商会は「完全週休三日制・福利厚生完備・残業ゼロ」の超優良企業へ変貌。
「シルスさん! あなたが来てから、人生が楽しくなりました!」と涙を流して感謝する従業員たち。
「いや、俺はただ普通に働こうとしただけなんだけどな……」
結局、どこへ行っても「環境を最高にしてしまう」神の性質を隠しきれず、シルスは商会の名誉会長に祭り上げられる前に、こっそりと聖域へ帰還するのであった。




