第29話:聖域の門戸開放――丸投げされた外交交渉
第29話:聖域の門戸開放――丸投げされた外交交渉
主神から「公式なドーム運営権」を認められたことで、聖域は外界から**「神認可の不可侵特区」**として認識されるようになった。
その結果、ドームの結界外には世界各国の王、大司教、大商会の主たちが「貿易の許可」を求めて土下座する行列が、隣国まで続く事態となった。
「シルス様、彼らは『マナ・ウィスキー』や『魔導ネット端末』の輸出、さらには『スライムによる行政コンサル』を熱望しております」
アリステアの報告に、シルスは寝返りを打った。
「……面倒くさい。アリステア、俺は寝る。外交とか貿易とか、全部プルたちに任せるよ。条件は一つ、『俺の昼寝を邪魔させないこと』。それ以外は全部スライムの好きにしていい」
「……御意。スライムたちによる『聖域貿易局(S.T.A.)』を設立いたします」
これが、後に**「スライムによる世界経済支配」**の引き金になるとは、この時のシルスは知る由もなかった。
プルを筆頭としたスライムたちは、シルスの命令を「冷徹なまでの最適化」として実行した。
外界の王たちが招かれた交渉の席。
プルたちは、人間には到底不可能な速度で「超不平等・超合理的な貿易条約」を次々と提示した。
「我ラ、提供スル、技術、高価。支払イ、魔石ト……貴国ノ『全市場・決済データ』ノ、共有、デス」
「えっ、全市場データ!? それは国家機密……」
「嫌ナラ、帰レ。次、並ンデイル」
スライムの圧倒的な「情報の暴力」の前に、人間たちは膝を屈するしかなかった。




