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スローライフは箱庭で  作者: 盆ちゃん


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第28話:主神降臨――その顔、前職の部長(パワハラ)につき

第28話:主神降臨――その顔、前職の部長パワハラにつき


 聖域の空が、黄金色から「オフィスビルの蛍光灯のような、目に優しくない白」へと塗り替えられた。

 管理コンソールが激しくアラートを鳴らす。

「緊急事態デス、マスター。高次元階層ヨリ、取締役級……イイエ、主神クラスガ接近中」

 現れたのは、アルシエルが縮こまって後ろに控えるほどの威圧感を放つ老人だった。

 だが、その格好を見てシルスは悲鳴を上げた。

 神々しい後光を背負いながらも、その神衣は「絶妙に型崩れしたグレーのスーツ」の形をとり、手には「皮製のビジネスバッグ」を提げている。顔は、生前の盆ちゃんを過労死寸前まで追い込んだ**「サトウ部長」**に瓜二つだった。

「――盆山君。君、ずいぶんと……『進捗』が遅れているようじゃないか?」

 その声、その、そのネクタイの曲がり具合。シルスの脳内に前世のトラウマがフラッシュバックする。

「し、主神……サトウ様……!? いや、俺はもう退職(死亡)したはず……!」

「私は主神デウス・エグゼクティブ。アルシエルが報告を怠るので直接見に来たが……なんだこのドームは。スライムがYouTube? 神がオンラインゲーム? コンプライアンスはどうなっているんだね?」

 主神は、アリステアが差し出した最高級の茶を一瞥し、「冷める前にレポートを出せ」と無茶振りを始めた。

 しかし、ここで動いたのはシルスではなく、エリート事務官スライム・プルだった。

 プルは主神の前に、1,000ページに及ぶ「ドーム内魔素流動及び生産性向上に関する統合報告書」を0.1秒で提出。

「……ム、ムムッ。このKPIの設定……そしてリスクヘッジの完璧さ……。君、いいスライムだね。私の秘書官にならないか?」

 主神はスライムたちの「超・事務処理能力」にすっかり毒気を抜かれ、「……盆山君、君のマネジメント能力を過小評価していた。このまま運営を続けなさい」と満足げに神界へ帰っていった。

 シルスは腰を抜かし、アルシエルを「二度と上司を連れてくるな!」と追い出した。

 こうして、「トラウマとの和解(物理的な敗北)」と共に幕を閉じた。


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