第26話:神々の悩み相談室――中間管理職・シルスの「神」対応
第26話:神々の悩み相談室――中間管理職・シルスの「神」対応
神様たちを追い出すのは不可能。ならば、彼らを満足させて「静かにさせる」しかない。
シルスは邸宅の一角に、琥珀色の照明を灯したバーカウンターを設けた。
「……さあ、悩みがあるなら聞きますよ。その代わり、話した後は寝室へ帰って大人しくしてください」
最初にカウンターに座ったのは、怠惰の女神アケディアだった。
「……盆ちゃん。私、最近『信仰』が足りなくて、神としての実在感が薄いの。誰も私のこと、拝んでくれない……」
「アケディア様、それはあなたが引きこもってゲームばかりしているからでは?」
「だって、外の世界、ギスギスしてて怖いんだもん……」
シルスは49歳の社会人的思考をフル回転させた。
「いいですか、今の時代、信仰は『推し活』と同じです。ドーム内のマナ・ネットで『ゲーム実況神・アケディア』として配信しましょう。スライムたちの熱狂的な信仰が得られますよ」
次に座ったのは、バッカス。
「盆ちゃん……。最近の人間は、効率重視で酒を楽しまない。俺の酒を『栄養剤』みたいに飲む奴らばかりで、失恋した気分だぜ……」
「バッカスさん、それはブランディングのミスです。『マナ・ウィスキー』を限定品にして、物語を売るんです。希少性を出せば、奴らは一滴を神の血のように崇めますよ」
夜が明ける頃、神様たちは「盆ちゃん、マジで人生(神生)の恩師だわ……」と感動し、それぞれの部屋(に設定された豪華客間)へ引き上げていった。
アリステアがグラスを磨きながら呟く。
「主様、さすがの交渉力です。もはや神々のコンサルタントですな」
「勘弁してくれ。俺はただ、静かに寝たいだけなんだ」




