第25話:ドーム移動計画――宇宙(そら)へ逃げても無駄だった件
第25話:ドーム移動計画――宇宙へ逃げても無駄だった件
リビングはもはや、神々の宴会場と化していた。バッカスが空けた酒瓶が転がり、アケディアがゲームで負けるたびに神威を撒き散らす。
「……もう限界だ。アリステア、引っ越しだ。この家ごと、誰も追ってこれない場所に逃げるぞ」
シルスは「管理コンソール」の前に立ち、**【次元跳躍・座標検索】**を起動した。
狙うは、生命が存在しない静寂の世界。あるいは、物理法則さえ届かない宇宙の果て。
「検索対象:『神の騒音』が届かない、Wi-Fi完備の隔離空間。……ポチっとな」
ドーム全体が激しい震動に見舞われた。
一瞬の無重力感の後、窓の外に広がっていた新緑の景色は消え去り、そこには**「満天の星空と、静寂の宇宙空間」**が広がっていた。
「……勝った。これなら神様たちも帰るだろう」
「わぁ! 盆ちゃん、見て見て! 宇宙から見る世界、超絶綺麗じゃん! インスタ映え(マナ・ネット映え)間違いなしだよ!」
背後から、アルシエルがスマホ(魔導具)を持って現れた。
「……なんでお前がいるんだよ!」
「いや、神様って概念的な存在だからさ。家がどこに移動しようが、登録済み(ブックマーク)の場所には一瞬でワープできるんだよね。むしろ星が近くて最高!」
結局、引っ越し費用(莫大な魔力)をドブに捨てただけの結果に終わった。シルスは、宇宙空間に浮かぶドームの中で、星空を眺めながらバッカスに「宇宙限定ラベルのウィスキー」を強請られる不条理に咽び泣いた。




