第21話:盆ちゃんの修学旅行――未開拓エリアと、神様の忘れ物
第21話:盆ちゃんの修学旅行――未開拓エリアと、神様の忘れ物
教育に疲れ果てたシルスは、気分転換に「修学旅行」を提案した。
行き先は、1kmドームの北側に位置する、まだ誰も足を踏み入れていない標高500mの「未開拓山脈」だ。
「よし、今日は勉強はなしだ。地球風BBQで盛り上がろうぜ!」
シルス、双子、プル、そして半泣きのルミ(と、こっそりついてきた大賢者バルカス)は、山頂付近でキャンプを開始した。
無限倉庫から取り出したA5ランクの和牛とビール。スライムたちが精密な火力調整で焼く肉は、まさに絶品だった。
「ぷるっ! マスター、アソコ、変ナ、反応、アリマス」
食後、プルが岩壁の隙間を指差した。
シルスが岩をどけると、そこには異世界の石造りとは明らかに異なる、「チタン合金製のハッチ」が存在していた。
「……これ、SF映画で見たやつだ」
シルスが触れると、ハッチがプシューという音と共に開き、ホログラム映像が浮かび上がった。
『よっ、盆ちゃん! ここを見つけたってことは、そろそろ生活に飽きてきた頃かな? これはドームの「管理コンソール」だよ。天候、重力、さらにはドーム内の時間を一瞬で一万年進めたりもできるから。あ、変なボタン押すと自爆するから気をつけてね! じゃあね!』
アルシエルの軽薄なメッセージに、シルスは凍りついた。
「……おい、自爆って言ったか? 今、自爆って……」
横では、ルミとバルカスが「神の遺構だ!」と叫んでひれ伏している。
シルスは震える手でコンソールの「微調整」ボタンを押してみた。すると、ドーム内の季節が一瞬で春に変わり、満開の桜が舞い散った。
「……最高だな。でも、絶対にルミたちには触らせないようにしよう」
聖域の深淵に触れたシルス。
彼の「引きこもり生活」は、神様の悪戯を手に入れたことで、管理の次元さえも超越しようとしていた。




