第17話:ミーナ先生の野外活動――消える暗殺者と「透明な死神」
第17話:ミーナ先生の野外活動――消える暗殺者と「透明な死神」
事務作業に特化したスライムたちを見て、ミーナが鼻で笑った。
「あんなの、ただの計算機じゃない。ご主人様の身に何かあったとき、あいつらに何ができるの? ……さあ、あんたたち。裏庭に集まりなさい。本当の『生存』を教えてあげる」
ミーナが担当したのは、体育という名の「隠密・暗殺術」だった。
彼女はスライムたちを森の最深部へ連れて行き、風景に完全に同化する擬態、魔力を一切漏らさない絶気法、そして自らの体の一部を「超高圧のウォーターカッター」として射出する攻撃手段を叩き込んだ。
「いい? 敵に姿を見せたら負け。敵が死ぬまで、あんたたちは『そこにある空気』になりなさい」
教育の結果、スライムたちはさらに斜め上の進化を遂げた。
彼らは自身の屈折率を自在に操り、白昼堂々、太陽の下で完全に透明化する技術を習得。さらに、粘液の粘度を調整して、いかなる音も立てずに移動する**「沈黙の暗殺隊」**へと変貌したのだ。
ある日の午後。シルスが縁側でビールを飲もうとすると、何もない空間から不意に冷えたグラスが差し出された。
「うわっ!? ……誰だ、そこにいるのか?」
「……ココニ、オリマス、マスター。気配、殺ス、練習、デス」
声の主は見えない。だが、すぐそばに「最強の殺意」を持った何かが潜んでいる気配だけがする。
「ミーナ……。あいつら、怖すぎるんだけど。庭を歩くのも命がけだよ」
「いいじゃない。これでご主人様の安全は、蟻の這い出る隙間もなくなったわよ?」
シルスの聖域は、冷徹な官僚と、姿なき暗殺者が支配する「絶対領域」へと昇華された。




