表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スローライフは箱庭で  作者: 盆ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/48

第12話:聖域の特産品――進化の雫『マナ・ウィスキー』

第12話:聖域の特産品――進化の雫『マナ・ウィスキー』

 騒動が収まり、ドーム内には再び独自の時間が流れ始めた。

 高濃度の魔素と、シルスの「こだわり」によって変異した植物たちは、地球の常識を越えた果実を実らせていた。

「アリステア、収穫した『銀河葡萄』と『記憶の林檎』、準備はいいか?」

「はい。主様が考案された**『超魔導低温蒸留法』**にて、極上の雫を抽出いたしました」

 シルスは、49歳の頃に愛してやまなかった「琥珀色の液体」――ウィスキーの再現に挑んでいた。

 聖域の最深部、時間の流れが緩やかな「静寂の洞窟」で数日間熟成されたそれは、もはや単なる酒ではなかった。

 グラスに注がれた液体は、月光を含んだように青白く輝き、揺らすたびに宇宙の星々のような火花を散らす。

「……いただきます」

 一口。

 その瞬間、シルスの脳内に「地球の懐かしい記憶」と「異世界の無限の活力」が同時に奔流となって押し寄せた。

 喉を通る際の熱は、五臓六腑を浄化し、精神を究極の安らぎへと導く。

「……これは、すごい。病気の頃の俺に一口飲ませてやりたいよ」

「……ちょっと、私にも一口ちょうだい!」

 ミーナが横からグラスを奪い、煽る。

「……っ!? ……なにこれ。魔力が、勝手に最適化されていく。これ、一杯で伝説級のポーション数千本分の価値があるんじゃないの?」

「ぷるっ! マスター、コレ、外ニ、売ル、デスカ?」

 プルが(商魂逞しく)提案するが、シルスは静かに首を振った。

「いや、これは俺たちが楽しむためだけのものだ。外界に流したら、それこそ戦争が起きる」

 シルスは、自作の特産品を楽しみながら、夜のドームを眺めた。

 賢くなったスライムたちが街灯を灯し、完璧な防衛網が外界を拒み、そして手元には究極の一杯。

 49歳の盆ちゃんが夢見た「最強の引きこもり生活」は、今、神さえも羨むほどの**「完成形」**へと到達したのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ