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#FFFAFA  作者: 第13夜想曲
2/2

#FF00FF:フューシャのリボン

「 ……戻ってくるの? 」



申し訳ありません。

私の回答の範疇はんちゅうを超えた質問です。



「 ……うぅ。 」



気分が優れないのでしたら、温かいお茶でも一杯召し上がることをお勧めします。



「 私も一緒に行っちゃダメかな……? 」



申し訳ありません。

【門】に関する詳細なアクセスについては、現在回答致しかねます。



「 ……じゃあ、私はここで……ずっとこうして、一人でいなきゃいけないの……? 」



検索:[キーワード - 門]

検索された関連キーワードをお知らせします。

検索結果:原色、光、道、[夢の中の友達]



「 夢の中の友達? 」



検索:[夢の中の友達]

////////////////

申し訳ありません。

関連記録は攻撃者によって破損されています。



「 原色、光、道、そして夢の中の友達…… 」



(ピッ! ピッ! ピッ!)



システムサーバー終了時間まで残り30秒です。

最後に残す言葉があれば、記録致します。



「 ううん!……いいよ。もう、満足な答えは聞けたから! 」



満足な答え。

では、貴方の最後の感情を『幸福』として保存します。

……

それでは、貴方の記憶を消去します。



(ジジッ……チリチリッ……!)



「 ……元気でね。 」



[ 電光掲示板の画面が消え、残された製品名 ]



「 SN-0W 」



- 短編:3の実験室とプロトタイプE型の最期 -


----------------------------------------------------------------


[ 先輩はどう思います? ]



「 どう思うかって言われてもな…… 」



意図を含んだ質問を投げかけられた男。

純粋に付き合ってやっていた自分を責めるには、

もう遅すぎた。

逃げ場のない巨大な50メートルの障壁のような彼女の質問が、

強制的に背水の陣を敷かせたのだから。



「 まったく……普段、僕の絵には散々評価を下すくせに 」


「 たかがリボン一つ選ぶのに、もう5分ですよ。5分! 」



期待に見合う回答を出すため、

彼は無駄に首を回しながら首を傾げた。



「 さあな……どっちも同じに見えるけど 」



正論を見出す上で、最も邪魔な存在を挙げるとすれば、

それはおそらく商売人だろう。



(プチッ)



「 はいはい、もういいです! 適当なのを着けますから! 」


「 表彰台の写真で、一人だけ馬鹿面で写っても知りませんよ…… 」



金がすべてではないと誰よりも分かっていながら、

取り返しのつかないほど膨らんだポケットが、

目の前の視界を遮り、探索を止めさせてしまった。



「 ……右だ 」


「 ? 」


「 右の色の方が、綺麗だと思う 」



(ニヤリ)



「 なんですか? さっきまであんなに渋ってたのに 」


「 …… 」



目の前のあいつ。

休み時間が残り5分となった今、

両手にリボン型のヘアピンを持ち、

こちらを振り返った体で、じっとこちらを睨みつけていた。



「 ああー、もう! 私の生命線とも言える休み時間が…… 」



(ううぅーー!!)



ベチャッ。

かなりの重量感とともに、僕の机に頭と肘を落とし、



「 遅れないうちに行ったほうがいいぞ。次の授業は、お前が一番嫌いな美術の先生だ 」



握りしめた両拳を突き上げた。



「 そうですよ先輩。私も早く行きたいんですよ! 」



まるでRPGの最終ボスとの戦闘を前にした最後の選択肢のように。

それが重要な決定であるかのように振る舞う。

実際には、まあ、何の影響もないのだろうが。



「 ……自分で着けてもらうのを待ってるわけじゃないよな? 」



その瞬間。



(ポヨーン!)



びっくり箱のバネが飛び出した。



「 そんな寂しいことを……! 」


「 当然、着けてくださるものだと思ってましたよ!! 」



悪戯好きなサーカス団員。

どうやら風船を返してもらうまでは、

目を離すつもりはないらしい。



「 じゃあ、理由を言―― 」


「 さあ! それでは理由を教えちゃいますね、先輩! 」


「 …… 」



言葉を遮られたことよりも気になったのは、

あいつの悪戯な笑みの向こうで、ぼやけて見える分針が、

まもなく時針になろうと準備を始めていることだった。



「 第一! 私は先輩の、最~~高に大切で、唯一無二の完璧な、そして…… 」


「 後輩、だろ? 」


「 その通り! 」



図々しいにも程がある。

最近、距離の近い顔を見せていたのが仇となったようだ。

いつの間にか、そんな反応を楽しんでいるようにさえ見えたから。



「 そして第二は! 」


「 私が、先輩の作ったデタラメな部活の、唯一の部員だからです! 」



たった一言。

感情を逆なでする、小さな名詞。



「 授業開始まで、およそ3分だ 」


「 それからキャロル 」


「 あのデタラメな美術部をやろうって言い出したのは、確かお前の頼みだったはずだけど 」



(コホン!)



「 そんなの、今は重要じゃないですよ! 」


「 ……とにかく、早く着けてください!! 」



滲んでいく。

スケッチされた絵の上、たっぷりと水を含んだ筆から落ちる色のように。

顔を色褪せさせた線の集合体の向こう。

最も原初的な色が、その下で広がっていく。



「 結局、何の理由もないってことだな 」


「 …… 」



赤く染まる紅潮の理由が気になるときは、

躊躇わずに愛を告白した。

真心を伝えることこそが、

顔に線を引く資格を得ることだと信じていたから。



「 本当に、やってくれないんですか……? 」



不貞腐れて尖らせた口元。

きっと、こうして拒絶されたと思えば、

スノウも同じような表情をしたに違いない。



(スッ……)



「 ……!? 」



そっと伸ばした手で、

あいつの右の手首を掴んだ。



「 じゃあ、僕も 」



もう片方の手で、彼女のリ본(ピン)を握った。

少女の戸惑いは、

不自然に開かれる指先から伝わってきた。

まるで機械の関節のように、ギシギシと。



「 今回だけだぞ 」


「 何の理由もなく、お前の我儘を聞いてやるのは 」



二人の間には、ただ一つの机があるだけ。

あまりにも狭いその空間では、

ヘアピンを留めるために近づく彼を止めることはできなかった。



「 キャロル 」



彼女は焦点を失った瞳のせいで、

顔がぼやけ始め、

高い位置からの吐息が、

次第に近くなり始めたとき。



(パチッ!)



「 受賞、おめでとう 」



ようやく、線を引くことができた。

感情が消え去った後に残った場所。

冷めてしまった赤色だけが残り、

ただの痕跡として片付けるしかなかったけれど。



「 ……ありがとうございます、先輩…… 」



確かにそれは、

紅潮ではなかった。



「 本当に…… 」



その眼差しは、

決して、

赤いリボンではなかったんだ。



- 不格好に留められたフューシャのリボン -


----------------------------------------------------------------


[ 耳をつんざく観衆の拍手と歓声の中で ]



立派な画家になったキャロル・ディアナの物語は終わった。

だから、もう、

物語の脇役として、顔を上げて生きるのを諦めた。

誰もが愛する青い空は、

色を見ることができない僕にとっては、ただの

巨大な穴にしか見えなかったことに気づいてしまったから。



[ 続いて、奨励賞を授与致します ]



見苦しい言い訳は必要ない。

自分自身の証明を絵に託したのは、

純粋に、そしてひたすら、自分のためだったのだから。

全色盲という難解な病名も、ただの虚像に過ぎない。



[ 受賞者は…おめでとうございます! キャロル・ディアナ様! ]



あの日、心地よい風が吹いていた。

平日の午前、静かな公園に座って、

空と木が一緒に映る絵を描いた。



[ ……ありがとうございます ]



パレットの絵の具が、なんて早く固まることか。

屋外で絵を描いたのはあの時が初めてだったから、

今でも記憶に鮮明に残っている。



「 あいつ…… 」



群れをなす鳥たちの移動と、

落ち葉を覆う芝生の上で

転がりながら体を乾かしている三毛猫。

ささやかに過ぎ去る現実を、

一つ残らず描き留めた。



「 また、『あの時』みたいな顔をしてる 」



これから、これが僕の最後の絵になる。

筆は難しい。

水の調節は、一筋縄ではいかない。



[ …… ]



いつの間にか日は沈み、

繋ぎ止めていた『現在』の最後の風景たちは、

月を避けて足早に逃げ去ってしまった。



[ 皆様、今一度盛大な拍手をお願い致します! ]



死人に口なし。

ならば、

言葉を発しない方法もまた、一つしかないね。



(わあぁーー パチパチパチーー)



考えは意外なほど簡単にまとまった。

決心を固めると、すべてが安らかになった。

誰もいない夜の学校。

普段なら開いているはずのない屋上は、

近づく運動会の備品保管を理由に開放されていた。



「 ふぅ…… 」



大丈夫。

震えるのは当然のことだ。

平然を装っている彼らも、

本当はみんな同じ気持ちだったはずだ。



(ギュッ……)



ひんやりと吹く黒い風に

身を縮める代わりに、手に持った絵を握りしめた。

強く、くしゃくしゃになって、完璧には広がりもしないほどに。



「 あ。 」



(一歩。)



「 最後に、聞きたいことができた 」


「 誰でもいい、聞いているなら代わりに答えてくれないか? 」



(二歩。)



「 今、僕がここから落ちたら 」



(そして、最後の一歩。)



「 明日の朝、たくさんの人が集まって見物して…… 」


「 真っ白な布が、濃い赤に覆われるんだろうな 」



[ 死の上に足を乗せ、あの日の朝のように顔を上げた ]



「 そうか…… 」


「 それなら、さ…… 」



やっぱり、しんどいな。



「 この絵は、一体どこへ行くんだろう 」



流れる涙に詰まり、くぐもった言葉を繋ぐのは。



「 …… 」



(ハラリ……)



激しい風よ。

僕を慰めてくれた、

過ぎ去りし日の風よ。

これまで吹くのに苦労したね。



(ヒュォォーーー!!!)



もう、

僕が行くよ。

今度は、

僕が君に吹く番だ。



「 ああーー、本当に馬鹿みたいじゃないか―― 」



なら、誰かは

吹き飛ばされた僕に巻き込まれて、

この絵を見ることになるんだろう。



「 『青い色の野原』だなんて…… 」



故意に落とした赤い絵の具が、



「 本当に…… 」



僕の代わりにね。



「 馬鹿みたいだ…… 」



(ドォォォン!!!)



- 過去の話:間違った色の絵 -


----------------------------------------------------------------


[ 疲れ果てて過ぎ去った風を振り返る場所 ]



「 エド!! 」



驚いた目。

二重の意味があるというのがさらに驚きだったが、

スノウの二倍に大きく見開かれた瞳には、

喜びの感情が大半を占めているように見えた。



「 どうしたの? 今日はすごく早く来たね?! 」


「 ちょっと昼寝だけして行こうと思って 」



「ちょっと」という言葉が何だというのか。

ただの「ちょっと」でも、十分なものがあるんだ。



「 もぉー! また前みたいに、夜遅くに来るんでしょ! 」


「 ごめん。でも、今日はすごく疲れてて、どうしようもなかったんだ 」



思考の中でベッドに横たわった。



「 ふん! 今回だけは多めに見てあげることにするよ! 」



確かに僕が考えたのは小さな一人用ベッドだったはずなのに……



(へへっ)



いつの間にかクイーンサイズになったベッドの僕の隣で、

スノウが腕にしがみつきながら横たわっていた。



「 スノウ 」


「 #FF00FFの色を作ってくれ 」



目を合わせながら頼んだ。



「 急に!? 」


「 ああ、急に 」


「 ……ただ、見たくなったんだ 」



少し不思議そうではあったけれど、



「 いいよ! そんなの簡単なことだよ! エド博士! 」



すぐにベッドから起き上がって胡座あぐらをかき、

目を閉じて両手を合わせ、

高度に集中し始めた。



(ううぅ……!!)



「 ジャジャーン! 」



そうして、フューシャの瞳が開かれた。



「 どう? エド! 私に似合ってる? 」


「 …… 」



僕が色を作ってくれと頼んだ理由を言ったら、

スノウはきっとひどく拗ねてしまうだろうな。



「 ああ 」



これは秘密だよ、スノウ。

僕が次に言おうとしていた言葉は、本当は、



「 綺麗だ 」



[ よかった ]



だったんだ。



- 似合ってるよ。だから、もう心配しないで -

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