#92A8D1:セレニティの草原
「 原色を超えて 」
毅然とした表情。
「 その向こうの光を見つけなきゃ 」
くっきりと輝く両の瞳。
「 エド……それは、君にしかできないことなんだ 」
少し躊躇いがちな声。
「 いつか。道が見えなくなる瞬間が来たら…… 」
そして、微笑み。
「 夢の中の友達に声をかけて。一緒にここから出るのよ…… 」
そして……また……
「 ……愛する、私のエド…… 」
……
「 さよなら 」
涙。
- 短編:かすかな記憶 -
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[ 白黒の色彩さえない、壊れたテレビの中で ]
夢を見る時間が来ると、
真っ先に、不吉な言葉が聞こえてくる。
「 挨拶が遅いよ! エド! 」
動き続ける世界のためにも、
いつの間にか「欠陥」は不可欠な条件となっていた。
「 ごめん。ちょっとぼーっとしてた 」
○×クイズの正解を知る者。
一生をかけて消し去った「0点」の解答用紙を手に、
間違えた人々とともに肩を並べて笑った。
(ハハハ!)
「 今日は何色だ、スノウ? 」
眩しすぎる一日を生きた罪で、
障害を宣告され、
両の眼がこぼれ落ちんばかりに明るく笑った。
「 今日はね……! 」
『全色盲ですね』
薄暗い部屋で医者から告げられた医学用語。
僕が見るすべてのものは、ただの一度も「色」であったことはない、という意味だ。
わずか6歳の時。
世界はそうして、偽物になった。
「 ジャジャーン! 君の大好きな【セレニティ】だよ! 」
スノウは手を広げてぶんぶんと振り、淡く微笑んだ。
「 HEXコード #92A8D1 」
「 今日は違うよ、スノウ。前回は雨が降ってたからそうなっただけで 」
形のない椅子に座り、足を組んだ。
それは直方体の図形の痕跡のようにも見えた。
「 こんなにどんよりした色は……今日みたいな晴れた日には似合わない 」
空中に浮いているマグカップを掴み、いつ淹れたかもわからない液体を飲み干す。
それはおそらく、香り高いハーブティーだったと記憶している。
「 わあ! さすがエド博士だね!? コード番号まで全部覚えてるの? 」
皮肉めいた僕の態度にも動じず、彼女は笑いながら話しかけてきた。
そしてしばし、手に持った「セレニティ」を両手でこすり合わせると、
髪を後ろに流しながら塗り込み始めた。
「 ……全部じゃないさ 」
彼女は背が低い。
僕より二拳ほど低いから、
150cm、そのあたりだろう。
「 えー、それでもすごいよ 」
反面、そんな彼女も他人より「大きな」何かを持っている。
それは柔らかい香りと不思議な感触を持っていたが、
残念ながら触れたことは数えるほどしかない。
少しでも触れようものなら、ひどく怒り出すのだから。
こんな些細な想像の中でも、
スノウが眉をひそめる姿が鮮明に浮かんだ。
「 私は一日中ペンキを混ぜてるのに……まだ名前も知らない色があるっていうのに! 」
「 そんなの、知らなくても大丈夫だよ 」
それは、髪。
膝の高さまで届く、長い髪。
こういう時は普通「長い」といった表現を使うのが適切だったろうが、
語彙力の不足によるミスを素早く修正できなかった僕の落ち度が大きかった。
たとえここが平凡な夢の中だとしても、
一度くらいは見逃してほしいものだ。
「 エド! 」
スノウのブラッシングが終わった。
セレニティ・ペイントの安らかな色に染まった彼女の髪。
淡い水色の波がスノウの頬をかすめた。
「 今日はいつまでいられるの? 」
巨大で細かく砕かれたガラスの破片の前。
スノウは4番目に大きなガラス窓で髪を乾かし、
数百の姿が優雅に揺れていた。
「 およそ50分後には行かなきゃいけない 」
組んでいた足を解く。
名残惜しさに慣れていくのは、あまりいい気分ではない。
「 うぅ……もう少しだけいればいいのに! 」
「 ごめん。明日はもっと長くいるよ。週末だから 」
だからこそ、より笑って生きた。
少なくとも、口角が下がるまでは
幸福が続くだろうから。
「 スノウ。知ってるか? 」
別れが惜しくて涙を流す子供。
彼にとって最高の贈り物は、
再び「出会い」が始まることだ。
「 昨日、理科の時間に知ったんだけど 」
「 僕たちが見る夢は、実は目が覚める30分前に起きていることなんだって 」
話しながら、
横に顔を向け、軽い手つきで絵を描いた。
「 えぇ!? じゃあ!! 私たち、ずっと30分しか会えてなかったってこと!? 」
(キィー、キィー)
カモメと飛翔の合図。
一瞬を埋め尽くす宇宙の太陽と恒星の光。
シチリア島の宝石のようなビーチが広がる。
「 それは短い夢の話だから、大丈夫だよ 」
突然の転換。
それにもかかわらず、二人はいつの間にか余裕たっぷりに日焼け(タンニング)を楽しんでいる。
パラソルのついた椅子に寄りかかり、左手にはぬるい茶碗の代わりに
レモンウェッジが添えられた冷たいカクテルが握られている。
「夢だから」という言い訳の中、彼らはすでにこうしたことに慣れて久しかった。
「 少なくとも、今感じている時間は正確だろう? 」
ハワイアンサングラスをずらしながら、
隣の友人に格好をつけてみせた。
「 ……それはそうだね! 」
彼女もまた、相槌代わりに受け取ったサングラスをかけ、
何の悩みも不安もなく微笑みながら、
ただ、遠く。
水色の海に瞳を落とした。
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[ 羊飼いの少年は、いつも草原で死を迎えた ]
正午が昇っている。
顔を赤らめるような太陽と、
続いて朝の価値に歓喜する生命たち。
そこには、
白色矮星となって死んでいった星たちへの礼遇はなかった。
すべての目を欺き、善良な目をしている人間。
明るい色を帯びているあの瞳も、
星の光に比べれば下等で無駄な悪あがきに過ぎない。
太陽の存在がG型主系列星として終焉を選んだように、
僕もまた「無意味」よりは「実現可能性」に重きを置くことにした。
……
果てしなく続く妄想の夢世界。
羊を数える少年が何度逃げ出してきたのかも、
137回を超えた瞬間からすべて忘れてしまった。
「 うーん……ちょっと眠いな 」
思ったより多くの時間が流れた海。
(ふわぁ~あ……)
スノウは眠そうな目をこすりながら、
足がちぎれんばかりに欠伸をした。
「 ううう……っ!!! 」
全身を伸ばした挙句、平面になってしまった少女。
半分閉じた目で話しかけてきた。
「 エド、今日は海じゃなくて、涼しい野原で目覚めるのはどう? 」
空っぽの劇場。
痩せこけた出入り口に絡みついている数千匹の羊。
これまで見てきた夢を忘れている間、
あいつらはそこで、扉が開くのを待ち続けていたんだろう。
「 それじゃ、せっかく準備した色が台無しになっちゃうだろ 」
一、二、三。
扉を越え、数字の書かれた観客席に身を横たえる。
眠りについた子供とベッドのある舞台を見つめ、
彼らもまた、深い眠りに落ち始める。
「 うーん……でもエド。あの海もまだ塗られてないよ? 」
そうして、彼らの体に数字が刻まれることになる。
何の痛みもなく安らかな微笑みを浮かべれば、
きっとそれは「夢」だからなのだろう。
どこかの小さな恒星の王子様が描く、
出鱈目なボアヘビのような物語だから。
「 …… 」
そうだ。
今、僕とスノウの瞳を埋め尽くしている背景は、
ただ生命を失った「点線」ばかりだった。
白紙でさえ描くことのできないキャンバス。
定義されない1.5次元の世界。
「 あれっ! もう羊たちが押し寄せてきてるじゃない!? 」
(バシャン!)
スノウと少年の後ろから現れた羊の群れ。
彼らは皆、一貫した視線で
ただ太陽だけを見つめて海を歩いた。
「 エド! あの羊たちを助けたいなら、私の助言を聞いたほうがいいよ! 」
だけど、なぜだろう。
「 スノウ 」
「 ……あの羊たちを、塗ってくれ 」
君がそんなに幸せそうな顔をするのは。
「 …… 」
「 うーん、何色に? 」
どうやら、君の願いが叶いそうな予感がするからだろうね。
「 残った『セレニティ』で十分だ 」
137の線と2つの斜線で構成された羊たちの死は、
一体いつから描き上げるのが嫌になったんだろうか。
(へへっ)
「 スノウ、早く! 」
「 ああ……! わかったよ…… 」
意地悪な色をした二本の線が互いに交差すれば、
生命はいつも血を噴き出しながら動きを止めた。
「 ふぅ…… 」
スノウ。
彼女の悪戯は、時に多くのことを考えさせる。
(スルスル……)
僕に焦りを感じさせるのは、
この夢に対する僕の考えを確認するためだ。
一人になることに
悲しくならないために。
また、
別れが散りばめられた夜が終わり、再び会うために。
「 あっ! どうしようエド……絵の具が足りなくて、全部は塗れそうにないよ…… 」
彼女の筆は軽い動きで、
数千匹の羊をセレニティの色に染め上げた。
そして彼らは一様に、光源の光に向かって海へと歩いていった。
「 早く場所を変えてほしいんだろ? 」
すると137の線は次々に崩れ、
水の上をぷかぷかと浮いた。
しばらくの後、彼らは完全に溶けて消えた。
そうして、
海は羊たちの絵の具になった。
「 へへ……こんなに早くバレちゃうなんて 」
「 さすがエド博士だね! 」
まだ彼女の撫で(ストローク)を受けていない者たちを除いて。
「 ……スノウ。これは次にツケを払ってもらうからな 」
(ハハハ!)
「 もちろんですとも、エド博士!! 」
存在自体を否定された生命への思考は、
もうやめにしよう。
深い眠り(水嶺)は、瞳を浸すだけでも抜け出せなくなるから。
そう誓い、
軽く目を閉じて笑った。
「 わあぁ! 見てよ、エディ!! 」
三度の静寂とその後の時間。そうして、
青い光を帯びるようになった海。
まだ目に焼き付けきれてもいないのに。
もう、お別れの時間だね。
「 セレニティ色の草原だよ!! 」
(また今度会おう)
「 …… 」
僕はいつも、この言葉に気をつけなきゃいけない。
それは明らかに、偽りの言葉だから。
そして、肝に銘じなきゃいけない。
一度奪われた色は、
「 そうだね 」
二度と、
僕の元へは来ないのだから。
- 草原、花園、そして羊たちの海 -
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[ 病院から戻り、倒れるように眠りについた ]
「 ……? 」
「 ここは…… 」
周囲を見渡すまでもなく、
本能的にわかる。
「 ……夢 」
簡単なことだ。
それも簡単に目が覚めて、
簡単に忘れてしまうような、そんなもの。
「 寒い…… 」
凍りつくような気分は、
現実と大して変わらなかった。
「 …… 」
何の色彩もないここも、
やはり
大して変わらなかった。
「 ああ 」
声を出してみる。
それは何の響きもなく、
虚空へと消えた。
「 あーー、あ! 」
大きく叫んだ。
確かに僕は耳が聞こえなくなったわけではないのに。
どうしてか、鳥肌が立つほどに、こもったような(閉塞感のある)感じだ。
「 …… 」
そうして、興味を失った。
その場に留まるすべての剰余物が
偽物であることに、ひどく失望した一日だったから。
どうなろうと、全く構わなかった。
心から、
そう思った。
「 ……! 」
本気になった心。
その瞬間から、すべてが「線」に見えた。
中は空っぽの、
透明な直方体のように。
(人……!?)
ただ、
(シクシク……)
君を除いて。
- 初めて出会った眼 -
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(ピピリリリン!!)
音に合わせて、ゆっくりと開いた目。そして、わずかな時計の音。
「 また…… 」
「 君が当たったね 」
深い夢に押し潰されたように、辛うじて体を起こしながら掴んだ窓枠。
セレニティの縞模様が描かれたガラス窓の向こうで、
「 スノウ 」
少年を映し出していた。
- 降りしきる豪雨と、朝に昇る君 -
この小説は翻訳機を使用して翻訳したものです。不自然な表現や違和感のある部分があれば、コメントで教えていただけると幸いです。至らぬ点も多いかと思いますが、ご愛読ありがとうございます。




