怪人養成工場05
「怪人を作るときに大事なことを教えてやろう。一つ」
お前は他にコーナーを作ったんだから黙れと自キャラを一蹴して工場長は頭を抱えていた。怪人たちは仕上がりが千差万別、非常に多岐にわたる特徴を持つとまあここはみんな知っているのだが、素体の数が限られるというのは案外皆知らない。例えば「美女」というカテゴリに「どんな美女」とつけるとギャルゲーのヒロインがだいたいこんな人数だなあくらいしか元になる素材がなく、戦闘用であろうと何であろうとそこまで多くはない。最小限に抑えようと思えば男女合わせて五人いれば基本チームになるというのはあまりにも有名だ。だから、ベースに少し変化が加われば素体が同じなだけで根本違う仕上がりで、もとはどんな奴だった?というのは言っても何も始まらない実りのない話だ、ということになる。チョウチョマン(雌)の素体はどっかのエロゲのキャラにそっくりなものなのでだんだんそれにしか見えなくなり使わなくなったという側面が強力に存在する。大まかに男女を素体として考えるとそれぞれがせいぜい十パターン、これでも多めに数えている。このキャラって何ですか?って素体の数は全員共用でこの種類なのだから全員被るのが自然、ましてこちらはパロばかりなのだからそれ以前にかぶりが大前提。何人か「絶対こいつだよなあ」みたいなのが見え隠れするが京都住まいということもあり「ああいう風にだけはならないでおこう」と思うところがある。下手をすると頭がおかしくなって暴走するのだから本気で気をつけないと。部屋の向こうには、こないだゴミ袋にぶっこんだノートが二百冊ほど宙ぶらりんで置きっぱなし、キャンパスノートでこの量がたまるんだから毎週漫画雑誌を買っていたらすぐに生活スペースがなくなってしまう。買うのはすぐだが捨てるのはなかなかしないという物持ちのいい体質が、怪人製造工場の大きな弱点である。




