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アストリア大陸戦記外伝 ペガサス将軍フレイアの敗北と竜騎士将軍アークトスの逆襲」

作者: 真珠の螺旋
掲載日:2025/11/05

※本作はミッドナイトノベル連載中の『アストリア大陸戦記』の世界観を下地にした、

設定の異なるパラレル短編です。

本編とは直接の関係を持ちません。

蒼翼の追撃:蛮族と帝国の雷鳴共闘

港町ガレアを炎と悲鳴の渦に残し、鉄槌のグラウクス率いる統一蛮族連合は、その略奪品を背負い、急ぎ帰途についていた。

その帰投途中、山脈の隘路に差し掛かった時だった。空が急に暗くなり、轟音と共に影の群れが舞い降りてきた。


「ちっ、なんだ?」グラウクスが巨岩砕きを構えて空を見上げる。


それは、ガストラ帝国7軍の一つ、フレイア将軍率いるペガサスナイト部隊だった。純白の飛竜に乗った騎士たちが、略奪の報を受け、凄まじい速度で駆け付けたのだ。


「略奪したものと人を返しなさい!それにあなたたちと、瓦解したはずの聖光教会についても聞きたいことがあるわ!」


先頭に立つフレイア将軍は、聖剣グラディウスを凛と構え、凛とした怒りを蛮族たちにぶつける。その鋭い剣先は、グラウクスたちを逃がすまいと決意を示していた。

副官の女戦士ザラは、舌打ちを隠さない。


「ちっ。何だい、7軍が来るなんて割に合わないね。聞いてないよ」


彼女の計算では、光の魔道士との小競り合いで終わるはずだった。帝国精鋭のペガサスナイト部隊との交戦は、報酬に見合わないリスクだった。。


「いや、こいつはちょうどいい。上玉の将軍と部隊だ。良い獲物になる」


グラウクスにとって、帝国の精鋭部隊との戦いは、略奪品以上の闘争心に火をつけるものとしての価値を満たすものだった。

フレイア将軍は、蛮族の内部での亀裂など気にせず、聖剣グラディウスを一閃する。


「問答無用!帝国に仇なす者、容赦はしない!」


ペガサスナイト部隊の急襲により、鉄槌のグラウクスとガストラ帝国7軍の熾烈な戦いが始まった。


ペガサス、剛力の前に地に伏す

戦場の空は、ペガサスナイトの白い翼と蛮族の咆哮が交錯し、熾烈を極めていた。長く続いた戦役で疲弊していたペガサスナイト部隊は、グラウクスの規格外の剛力と野性的な戦術を前に、徐々に優位を失いつつあった。

そして戦局は、グラウクスとフレイアの一騎打ちに収束した。

グラウクスが振るう『巨岩砕き(ギガント・ハンマー)』は、文字通り大地を揺るがす破壊力を持っていた。対するフレイアは、神聖な輝きを放つ聖剣グラディウスを操り、スピードと技巧で巨体を翻弄する。


「へっ、聖剣の使い手だとかいう女か。なかなかやる。だが、一人じゃ俺の敵じゃねえな。

せめて将軍何人か連れてくるんだったな!」


グラウクスは豪快に笑う。

フレイアの心はグラウクスの圧倒的な力に圧され、焦りと恐怖が忍び寄る。

(くっ!この男、強い!ヴァレリアス陛下やアークトスでさえもしかしたら……!)

彼女の技巧は、グラウクスの絶対的な剛力の前に限界を迎えていた。次の瞬間、ギガント・ハンマーの一撃がグラディウスを弾き飛ばし、聖剣が地面に突き刺さる。フレイアの体は凄まじい衝撃と共に吹き飛ばされ、鎧が軋む音と共に地に伏した。


「へっ、終わりだな、将軍様よ。」


グラウクスは、倒れたフレイアを見下ろし、不敵な笑みを浮かべる。その目に歪んだ愉悦の光が宿る。

彼は倒れたフレイアに近づき、巨躯から繰り出される圧倒的な力で彼女に手をかけようとした――

まさにその刹那――


竜騎士の雷鳴と共闘

空が再び、今度は雷鳴と共に引き裂かれた。


「そこまでだ、蛮族の首魁よ!」


轟音と共に、帝国の紋章を掲げた真紅の竜の群れが、フレイアの頭上へと急降下する。その先頭に立つのは、ガストラ七軍最強の武人と謳われるアークトス将軍と、彼が駆る竜。


「竜騎士部隊、参る!蛮族ども、雷槍ライゼルグの餌食となれ!」


アークトスの雄叫びが山脈に響き渡る。その手に握られた雷槍ライゼルグが、凄まじい稲妻を呼び起こし、グラウクスの蛮族部隊の中心に叩きつけられた。

グラウクスは、突如現れた援軍、しかも七軍最強の竜騎士部隊の参戦に、顔色を一変させた。


「ちっ…アークトスだと!?厄介な奴が!」


アークトスは倒れているフレイアを一瞥すると、すぐにグラウクスに向き直る。

雷槍ライゼルグと巨岩砕きが激突し、戦場に雷と鋼の衝撃波が巻き起こった。


「フレイア、無事か!」


アークトスが叫び、フレイアに手を差し伸べる。

フレイアは満身創痍ながらも、その手を取り、再び聖剣グラディウスを掴み取る。二人の将軍が並び立ち、竜騎士部隊の猛攻が加わったことで、戦局は一気に帝国有利へと傾いた。


戦略的撤退と将軍の葛藤


「へっ、これ以上遊んでると割に合わねえな。」


グラウクスは、アークトスとの決着は不可能と判断した。ザラが既に撤退していることもあり、これ以上の犠牲は無意味だ。彼は奥歯を噛みしめると、撤退の号令を出した。蛮族連合は、略奪品を捨ててはいないものの、激しい後悔を露わにしながら、急速に戦場を離脱していった。

蛮族の姿が見えなくなると、アークトスは安堵の息を漏らし、フレイアへと向き直ります。


「フレイア。無茶をしすぎだ。そして、追撃は無用だ。」


アークトスは厳しく告げました。


「陛下から『深入りは無用、蛮族連合との決定的な衝突は避け、戦力を温存せよ』との指令が出ている。」


フレイアは、地面に突き刺さったグラディウスを抜き取りながら、唇を噛みます。部下たちは傷つき、略奪品も全て回収できたわけではない。


「でも、アークトス……彼らは略奪を──」


と食い下がろうとします。

アークトスは、フレイアの肩に手を置き、その瞳を真っ直ぐに見つめました。


「俺だって気持ちは同じだが、今は『私情』よりも『大局』だ。聖域の件、そしてロトゥス教団の動き、大陸を取り巻く情勢は並大抵のものではない。君も7軍の将軍だろう?自分を抑えるんだ、フレイア。」


フレイアは、その言葉に深く息を吸い込み、将軍としての理性を取り戻した。


(そうだ。私の使命は、目の前の蛮族ではない。ロトゥス教団との決戦が控えている。

戦力温存……それが、陛下の命……)


フレイアは、血で汚れた鎧のまま、静かに頷いた。ガストラ帝国は、蛮族との全面戦争よりも、

ロトゥス教団との最終決戦に向けて、歯痒い「戦略的譲歩」を強いられたのだった。



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