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2つの瘴気溜まり①

暗雲立ち込める空、辺境の深い森の奥。

3人の青年が目の前に浮かぶ禍々しい黒い渦を見上げ立ち尽くしていた。

凶悪な重たい瘴気が渦巻き、距離を置いても悪寒や頭痛が酷い。

このレベルの瘴気溜まりは百年に一度発生するかどうか。



「シオン…、コレは聞いてないんだが?」


背中に大きな魔剣を背負った赤髪の青年がニヒルに笑ってみせたが、その顔には焦りの色が見える。


「そうだね、…はたして僕たちの手に負えるだろうか」


ホワイトブロンドの青年が返事をする。赤髪の青年と同じ詰襟の臙脂の軍服を着ているが、

彼にはどこか優美さが漂っていた。


「…叔父上たちの隊がこちらに来るべきだったな、

しかし、神殿の遠見の術は完璧ではない。僕たちで何とかするしかない。

少なくとも、援軍が来るまで魔物を結界の中に閉じ込める、例え命を落としたとしても」

想定外の難事を前にして彼は落ち着いた声だった。


「殿下、瘴気の不安定さを見るに魔物が生まれるまであと1、2時間猶予があります。

強固な結界を張って見せましょう。お任せください」

水色の髪の白い長衣の装束を纏った青年が言う。


「頼むよ神官長、あとは僕とカイルでどれだけ先制攻撃を仕掛けられるかが勝負だろう」


絶望的な状況でも前を向くシオンに二人は僅かな希望を持った。


シオンは胸ポケットから小さな蜥蜴のような生き物を取り出した。

手のひらで『きゅう』と可愛らしく鳴いたそれはシオンが口の中で短く詠唱すると巨大な白竜となった。

金を溶かしたような目でシオンを見つめる。

「アレックス、正念場だ」

シオンは白竜に向かって言った。

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