3-41 転生免許
次の目的地は『レミノリア』。話に聞くと、鎮埠としては最近建てられたらしい。日程としては半月ほどで到着するという。
その間、私は文字の読み書き、そして企院から渡された教典を覚えるようにと強く念を押され、やることが多くあった。それにエチワカにも教えることが多くある。食事は手づかみ、水が苦手のようで体は洗わない、力の加減が分からず物を壊したり…教えることよりも慣れさせることが先決だろう。
一隊のみんなにはエチワカのことを新種の何かと紹介した。エチワカは人を恐れて前に出ることはなかったが、最近は恥ずかしくて人前に出るのが苦手なようだ。近付くことは問題ないようだが、話しかけられればタッタと逃げ出した。
馬車旅は本当に暇だ。たまに馬を休ませるために馬車が止まるのだが、それが待ち遠しくてたまらない。地平線まで続く平野、どうどうと落ちる滝が作る滝つぼの水底はハッキリと見え、茜色の夕陽は一面の綿花畑を燃やし、夜はチカチカと星が瞬く。
そんな毎日の一瞬一瞬がコントラストを作り、私に七色の豊かさをくれる。気温も、においも、疲れも、静けさも、煩わしささえもすべて、気付けば楽しめるようになった。
こんな旅がずっと続いて欲しい。
しかし間もなく、同盟の国『ウィーン』に属する町『レミノリア』に到着する。どんな町なのか想像を膨らますも、キンキラのように何か起こるのではないかともハラハラする。
「シスター、レミノリアが見えますよ」キョウトは馬車から身を乗り出して町の一景を眺めた。
私も馬車から落ちないようにキョウトの体をガッシリ掴んで身を乗り出した。キンキラのような華やかさはなく素朴に感じてしまうが、鎮埠が作られてから町が作られたのだから、それにしては大きい。
「どれどれ?」エチワカも私の肩を掴み、体をグッと伸ばした。
三人の気持ちはきっと同じだろう。




