3-27 転生免許
「何か良いことでもあったのですか」
するとキョウトは自慢げに言い免許を私に突きつけた。「ついに俺も徳を積んでランクが上がる所まできましたよ」
その免許を見ると、一文字で「『ム』?」と書かれていた。
まるで初めて見る、実際に初めてなのだが、そんな様子なものだから、キョウトは察するように言った。「追試ですか...ランクと言うのは下から『無』『卑』『駄』『並』『可』『良』『優』『親』とあります。初めは『無』。徳を積むことでランクが上がり、ランクの更新は『府』で行われます。俺はまだ『無』ですが...まだまだこれから。今回ランクが上がれば『卑』になります。大したことはないですが...すぐに『並』まで上げて見せます」
どれほどの徳を積めばランクが上がるのだろうか。キョウトは私よりも少し年上くらいに見えて、それで引きこもりの期間もあって...しかし徳とはどんなことをしたらどれだけの徳を積むことができるのだろうか。引きこもったり、悪事を働けば徳は無くなっていくのだろうか。
それに、ランクが八種類もあるようだ。それぞれに達するとどんな効果があるのか、転生免許のことを知れば知るほど新しい疑問が生まれる。
「シスターのランクは今どれくらいですか?」
私は不意を突かれて「ん?」と聞き返した。
「シスターのランクはどれくらいでしょう?」
そんなこと、そもそも転生免許の存在を先ほどまで知らなかった私が知るはずもない。「えーと...」私はゆっくりと建物の方に足を踏み出し、そして「教えません」と、逃げるようにたったと走った。
「ちょ、ちょっと」キョウトは私を追いかけ、二人は建物に向かう。
キョウトと会話で躓いた時は、はぐらかせばどうにかなる。それが私がこの物語で行動を間違えないための対処法である。しかしそれはあくまで先延ばしでしかなく、後で再度同じ質問をされたら答える必要があるだろう。まだ文字が読めるだけの私はこの物語の登場人物としてもっと知る必要がある。




