3-25 転生免許
「なぜこの町は区画整備しないのでしょう。道が広かったり狭かったり、いくら何でも複雑すぎて迷路みたいです」私は頬を膨らませて低くうなった。
「商人たちが集まってできた町ですからね。好きな場所で、好きなように商売を始めたのでしょう。ここまで大きくなってしまっては今更できないでしょう」
「そうかもしれませんが、売るものを場所によって分けたりしないのも不思議です。町の東は食べ物、北は武器、みたいな」
ここまであらゆる露店がひしめき、その隣同士で同じ物を売っていることはなかった。全てが新しく、目に入るものがチカチカとしていた。それだから面白く、飽きはしないのだが、欲しいものを比べたりができないし、ショッピングとしてはふさわしくないのかなと思った。
しかしキョウトは一つの推測をすぐに出した。「きっとそれが良いのかもしれませんね。迷路みたいに入り組んだ道、そこに並ぶ分野が異なる露店、一度会った露店とはまさに一期一会。さっき購入した商品があっちでは安かったり、一喜一憂したり、そんな出会いが楽しいのでしょう。分野に別れてしまえば安く売っているお店が明らかに繁盛して、一強の店だけが残ってしまいますからね」
それはこの国の本質なのかもしれない。キンキラという町は商人の町、全ての商人が自由に商売して全員が平等で、一人の商人に偏りなく支配されることない、そんな市場を目指しているのかもしれない。
いつの間にか建物は間近でありながらも、やはり慎重にとキョウトは分かれ道で露店の店主に道を訊いている時、道の真ん中に突っ立って建物を見上げている私が悪く、何か体にぶつかった。
「うっ…!」
尻もちをついたその子は深くフードを被っており、しかしボロボロのマントからはみ出た裸足の足は異種を感じる『色』をしていた。手元からこぼれたパンやリンゴが地面に転がった。
「あ、大丈夫?ゴメンね」私はリンゴを拾い集めようと手を伸ばしたその時、その子は奪われるとでも思ったのか、こぼしたものを素早く集めた。そしてフード奥から覗く眼光炯々はまるで人を憎んでいるようであった。
そしてその子はあっちの方を振り返り、反対の方向に走り去った。あっちの方からやってきた男性は「泥棒!捕まえてくれ」と叫びながら私の前を通り過ぎていった。
あの子は追われているのか?




