3-22 転生免許
「いいではないですか、二人増えたところで変わりませんよ」
尾張と手引はコソコソと話し合い、やがて結論を出した。「私たちも二人だけでは道中の旅の安全が心配でした。鎮埠にも興味があります」
「邪魔でなければ同行させていただけると非常に助かります」
彼は観念したように「皆には私から言っておきましょう」と頭を抱えた。
思惑はうまくいった。二人は同行しなくても私たち一行にこっそりついてくるだろうが、一昨日のゴブリンが襲ってきたこともあったし危険がつきまわるに違いないから、同行することで私は安心してこの物語を進めることに専念できる。
「いつ出発となりましょうか」
「まずはシスターが見つかった後の報告後、すぐに出発の準備をいたしますので...昼頃に出発となりましょうか。場所は集落の入口となります」
まだ朝方で、出発までおよそ三時間ほどであろうか。
私は再び尾張と手引にアイコンタクトを取り、尾張が頷いたので話を切り上げた。「わかりました。それでは皆に報告をお願いしますね」
「はい、それではこれで失礼します!」彼は勢いよく頭を下げ、跳ぶようにして店を出ていった。
「話がポンポンと進んでいったね。いつもだったら面倒な手配とか必要だったのにね」
「このシスターのおかげだね」
褒められた。前はいつ褒められたのか覚えていない。尾張が褒めることはそれくらい珍しい。私は隠せない笑みをニタニタ浮かべた。
そんな私を見る手引は両手の上に顔を乗せて茶化すように変顔をしていた。
私も指で眉をつり上げ、顔のパーツを中心に集めた。まるでにらめっこだ。
そんな私たちを横目に尾張は淡々と続けた。「ただ僕らはメインではない。だからモブよりも薄い存在でいるように徹底していこうと思っている。今後はあまり関わらないようにしよう」
「うん、分かった。それで集合時間まで何しよっか」
「そうだね。昨日、集落の中を見て回った時に本屋とかあったから見てみようかな」
本屋は集落の奥にあり、その近辺から甘いお菓子のような匂いがしたのを覚えている。その時は腹ペコだったので、その匂いを頼りにフラフラとお店を探したのを覚えているが、尾張に静止させられて断念した。
「私もついていっていい?」
「キミは先に集合場所に行ってよ。大っぴらにシスターのまま行動されては今後の物語に影響を与えるかもしれないからね。手引も一緒に行ってこのシスターを監視しといて欲しい」




