3-21 転生免許
「ではでは、私たちが何をしているのか教えてあげて」
彼は私を「ん?」と驚いたように見たが、私が笑顔で返すと頬を赤らめて従順に話し始めた。「はい。我々はこの『総の国』にある『鎮埠』の巡礼を行っています」
私は尾張と手引を横目で覗き、その様子から私もグッと堪えることにした。分からない単語が出てくる中で、いちいち質問をして話を遮り、この世界の住人でもあるのに常用単語が分からないというのは不自然だ。一旦飲み込んで話を聞こう。
「我々の旅はまだ始まったばかりで、これから北東の鎮埠『レミノリア』に向かっている最中です。巡礼を行い、先の戦争でありました魔物との戦いで死んでいった者たちの魂を鎮める、それが我々の使命になります」
そう、それが私の使命、と胸を張るところだが、実のところは「へー、そうなんだ」と他人事である。ただ自分の素直な気持ちを表情に出さないように顔の筋肉をこわばらせた。
私の気持ちを代弁したのは尾張である。「へー、そうなんですね。私たちは田舎者の旅人で、世がどのように変わっていったのか見聞を深める旅をしていましてね。あまり世が分かっていなくて申し訳ないのですが、鎮埠とはこの国にいくつもあるものですか?」
「鎮埠は最近建設され始めたので、さほど数は作られてはおりません」
「それならば建設が終わってから巡礼をすればいいのでは?」
「いえ、今こそ巡礼せねばなりません。鎮埠というのは死者の魂を鎮めるために、主に戦場となった土地に作られます。その地には死んだ者たちの魂が安眠できず、その地をうろついていると言われます。鎮埠を作ろうにも彼らの魂が鎮埠の建設を妨害しており、建設できずにおります。その魂を鎮めるためにシスターが、シスターを守るために我々がおります」
「なるほど。それは大変な旅路になりそうだ」
総の国の各地にある鎮埠を巡り魂を鎮める。それに私は同行する。中々長い旅になりそうだ。そんな旅路に二人はいるのだろうか。私は示し合わせるようにして尾張と手引を見た。「今後、お二人はどうされるのですか」
尾張はうんと頷き「私たちは見聞を深める旅を続けます。ただどこに行くかはまだ決めかねています」と私の提案に乗った。
「もしよければですが、お二人もご一緒に同行されますか?」
「え?良いのですか」
「シスター、我々の相談もなしにそんな勝手な...」彼は突然のことに戸惑った。




