3-20 転生免許 ~物語が動き出す朝
「これからは情報収集とかするの?」
「まあ、そうなるね」
小さなレストランで朝食を取り、今後のことについて話した。
「しかししばらくは何の発展もないかもしれない」
「なんで」
「手引に教えておくと、ここにいる...」尾張は私のことを見て口を詰まらせた。そして深くうなずいて続けた。「こんな風に顔が変わるんだ。この物語の登場人物の一人となったところで物語が始まったんだ、前は」
手引も私を見て、ギョッとした。「誰?」
ほんの一瞬で、それは突然の訪れで、また始まった。
自覚がないまま私は顔が変わり、髪の毛も金髪になっていた。
「マジックみたいだ」
その瞬間、レストランの出入口がバタンと開き、外気がレストラン内に一気になだれ込んだ。まるで演出のように現れたその人にレストラン客の視線が注がれた。
勇者風の彼は私に気付いて歩み寄った。「これはこれは『シスター』、こんな所にいらっしゃいましたか。二日も姿を見せず心配しましたぞ」彼は私の隣まで来ると、尾張と手引を見つけた。「この御仁たちはどなたでしょうか」
『シスター』とはきっと私のことだろう。そのシスターを彼は今まで探していたようで、やっと見つけたということだ。
何となく状況は理解したものの、突然のことに私は言い淀んでいると、尾張はすかさず言った。「私たちは行き倒れているシスター様を介抱しておりました旅人でございます。名乗るほどでもありません」
「行き倒れていた...」彼はテーブルの朝食を見て納得した。「そうでしたか。感謝しよう」彼は深々と頭を下げ、そして私に手を差し伸べた。「さあ、行きましょう。皆お待ちになっております」
その手を掴んで良いものなのか。物語なら掴まなくてはいけなそうなのだが、それだと尾張と手引とここで別れはしないか。そもそも私はこれから何をするのか。とにかく情報だ。
「まあまあ、一度お座りになってください。この方たちとのお話は楽しいですよ」私は彼を隣の空席に座るように促した。
「いえ、皆が待っております。行きましょう」
「まあまあ、一度お座りになって」
私が二コリと笑顔を投げかけると、彼はたじたじになった。「...皆も待っているが故、少しだけですよ」と彼はイスに腰をかけた。これが彼の心の隙なのかもしれない。
状況としては事情聴取のようだ。この物語を知る彼から情報を引き出そう。不自然にならないように言葉を選ばなければならない。




