3-18 転生免許
「トークしよう」
「いいですが、どうしたんですか?」
「へへっ、だって...」手引はまるで照れた子供のように甘えた声で「こうやって人と一緒に枕を並べて寝るの、超久しぶりなんだ」と答えた。
物語を綴じることを続けてきた手引、それは孤独で淡々と続けてきたことなのだろう。今回のように誰かと同行して物語を綴じない限りは人と一緒に眠るなんて機会はないのだろう。そんな状況でまるで修学旅行の夜みたいに思い出を語り合い、明日の予定なんかも話しちゃって、そんな様子が手引からうかがえる。
横を見れば手引がギンギンに目を見開きこちらを見ているものだから。
私はゆっくり天井を見直るものの、しっかりと手引の目が焼き付いていた。
「じゃあさ、やっぱりなんだけど、アミちゃんがいた物語の話を教えて欲しいな。どんなところで生まれたとか」
とは言われても覚えていないというか、記憶にないのだが。「覚えているか、というよりは知っていることだけ...」
「それでも構わないよ」
「私が覚えているのは、そこは夏の日差しでまぶしい町で―」
私は話を始めた。私の故郷は夏の日差しで覆われた白い町で、そこで怪獣をやっつけて、尾張に消滅させられそうになって、すべてを物語を紡ぐように事細かに話した。手引はその所々で合いの手を入れ、時には話しにくかったが、聞いてくれているのが少しずつ嬉しくなった。
「それで次の物語に移ったわけですが―」次の物語に話題が変わろうとするその時、私の脳裏に一つ残像が思い起こされた。それはこの異世界の物語に移る前に見た『リンク』の文字だった。
私は話を遮り手引に疑問を投げかけたのだった。「手引さん、ちょっと聞きたいことがあるのですが、物語を移る時に空中に文字が出る『リンク』というのは、もしかしてインターネットの『リンク』のことですか?文字に『https』の文字を見て...」
「うん、そうだよ。というか、そうだと思う」そして手引はこう続けた。「シュウから聞いてない?ここ、小説投稿サイトの小説の世界だよ」
「小説?」手引の言い方には何か引っ掛かることがあったが、予想が当たっていたことで今までのことがパズルのように当てはまる。 私がいた世界も、あのヴァンパイアの世界も小説だったのか。つまりはその小説の中途半端な状態を綴じ師は終結に導く、そういうことだろうか。




