3-11 転生免許
「そうなんだろうけど、じゃあどうするの?」
「作るか買うしかないだろうな」尾張は栞を取り出し、その栞から和服を着たシルエットが美しく背が高い女性が現れた。まるでモデルのようだった。
「えらい久しぶりどすな、尾張はん。何かご用やろか?」
「久しいね。いきなりで悪いが、あんな服ってないかい?」尾張は集落の人の方を指差した。
「そら、もちろんおますよ」女性は持っていた見た目は古く茶色で小さなトランクをその場で開いた。すると仕掛け絵本のようにクローゼットの中身が飛び出した。「確かこの辺にあったはずやけど...あ、あったあった」女性は何着もある服の中から一着を取り出し、尾張の体に当てた。「いかがでっしゃろ、尾張はん」
「いやいや、コレ、何?」
尾張に当てられた服は異世界モノでよくある女盗賊のような薄い衣装だった。
「あらまぁ、間違えてしまいましたえ」女性はほくそ笑み、すぐに服を取り替えた。「こちらでよろしおすやろか」
「いやいや、違うでしょう」
その服は毛皮などでできた蛮族風の女性っぽい服だった。「あらまぁ、そないに変わらんのとちゃいます?」女性は集落の人の方を、尾張を交互に見た。
私と手引は口を手でふさいで尾張がそれらの服を着た時を想像した。
女性は次々と尾張に服を当てていった。王様のような厳かな服、着ぐるみパジャマ、セーラー服、大人用のベビー服、メイド服、番長風の学ラン、とにかく様々な服を女性は尾張に着せたい様子だった。もはや楽しんでいる。「どれにしはりましょう」
「いかがも何も、どれも違うよ」
「せっかく尾張はんのためにあつらえたのに…」しゅんとした女性はしぶしぶ尾張の注文通りの服を取り出した。「いかがでっしゃろ」女性は頬を膨らませてつっけんどんに服を尾張の体に当てた。
そんなことにお構いなく尾張は「いいんじゃないか。じゃ、これで」とマイペースに答えた。「こっちのお二人にも同じような感じで用意できるかい」
「分かりましたわ」女性は私と手引に近づいて、「自己紹介が遅れて申し訳ございまへん。うちは『紅』と申します。以後、お見知りおきくださりまし」と見とれるほどに優雅にお辞儀をした。
私たちも焦りながら自己紹介を済ませ、紅のようなお辞儀を返した。




