3-7 転生免許
「先に行ってて構わないよ。必ず追いつくから」
「一人で大丈夫なの?ゴブリンにまた出くわしたらどうするの?」
尾張は首をかしげた。「キミがそばにいて、キミがゴブリンと戦うのかい?」
「レニーさんを呼びに行く。レニーさん、強そうだし」
「その間に僕がやられてるよ。ま、その前にブックマークを使ってどうにかするよ」
「それなら尾張さんのそばにいても安全じゃない」
尾張は少し考えた。「確かにそうかもね」
また二人で声を合わせて笑った。笑い声は森の奥へと消えていき、静けさが制した。
やがて身にしみるほど体が冷えるのが分かり、私は体をさすった。互いの顔も見えなくなるほど真っ暗になってしまったその先に、マッチ棒で火を付けたようにポッとオレンジ色の明かりが森の奥に見えた。
「なんだろう、アレ」
「手引たちが付けた火だろう。キャンプの準備でもしているのかもしれない。さっさと行こう」
ずんずんと進むと木の数が減っていき、次第に森が開けてきた。それもそのはず抜け出した先は野が広がっていた。しかし暗いせいでその先にはどこまでも広がるような闇が大きく口を開けていた。
「おう、来たね。今日はここで野宿するよ」手引はたき火の近くで体を温めていた。その傍にはレニー、そして離れたところで見たことがないおじさんが穴を掘っていた。
「アレ?一人増えてない」
「あの人は私のブックマークで『森田』さん。罠を作っているんだって」
森田さんは掘る手を止めてこちらに向かって手を振った。
「罠って、熊やゴブリンとかから守るため?」
「そうそう。獣が歩いた後や糞もこの辺にはないから大丈夫だと思うけど、一応安全を確保したいって森田さんが。ゴブリンは見たことないけど、どうやって身を守ればいいんだろうな」手引は高らかに笑い、石のイスを指差して「アミちゃんも座りなよ」と促した。
私は杖をつく尾張を見た。「尾張さん、座れる?」
「僕はあっちの倒れている木に座るよ。この足じゃ、そんな低い所には座れないからね」その姿はまるでボロ雑巾が倒木にかけられたかのよう、尾張は倒れ込むようにして倒木に身をゆだねた。




